2004 Fiscal Year Annual Research Report
子宮体癌の悪性化及びホルモン反応性における転写因子AP-2の意義と臨床への展開
Project/Area Number |
15790886
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 友美 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (70359751)
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Keywords | 子宮体癌 / 転写因子 / AP-2 / 女性ホルモン / 卵巣癌 |
Research Abstract |
婦人科癌におけるAP-2の報告は卵巣癌での病理組織での発現の報告を散見するのみであり、病態についてのふみこんだ検討はまだなされていない。AP-2はこれまで胎児の神経管形成の調節や胎盤性ゴナドトロピンやP-LAPといった胎盤発現遺伝子の発現誘導といった分野での研究が展開されてきた。昨年度、われわれは、子宮体癌と同様にホルモン反応性の高い卵巣癌における転写因子AP-2の役割を検討して、卵巣癌細胞株SKOV-3にAP-2発現ベクターを導入し、選択により恒常的なAP-2発現細胞(SKAP-2)を作成し、SKAP-2において、増殖能、浸潤能が低下することを報告した。今年度はひきつづき、以下のような知見を得た。 1、SKAP-2において、親株および、空ベクター導入株(SKpSG5)よりも細胞周期の変化は認められなかった。 2、SKAP-2において、親株および、空ベクター導入株(SKpSG5)よりもBrDU assayにおいて増殖能が有意に低下しているのを認めたが、これは浸潤能の低下に比べて、軽度であった。 3、SKAP-2において、細胞内シグナル伝達系のERK, Aktのリン酸化の低下を認めた。 以上より、AP-2は卵巣癌細胞株において、増殖能よりも浸潤能に関係していると考えられる。さらにわれわれは、胎盤形成に関係し、母体子宮筋へ浸潤するextravilous trophoblastについてもAP-2の役割を検討した。 4、xtravilous trophoblast細胞株にAP-2を導入したところ、MMPs activity、MT1-MMPの発現が低下し、TIMP-1の発現の増加を認めた。 5、逆にAP-2転写活性のnegative regulatorを遺伝子導入したところ、1と逆の結果が得られた。 したがって卵巣癌同様に、絨毛細胞の浸潤にもAP-2が関与していることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)