2003 Fiscal Year Annual Research Report
受精障害による不妊症例へのストロンチウム卵活性化法の有用性に関する基礎的研究
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15790899
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
呉竹 昭治 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (40347224)
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Keywords | 不妊 / 顕微授精 / マウス |
Research Abstract |
【目的】ゴルジ結合蛋白であるGOPC (Golgi-associated PDZ-and coiled-coil motif-containing Protein)ノックアウトマウスは、不妊となる原因不明のヒト遺伝性疾患Globozoospermiaと類似した円形精子頭部を呈し、その動物モデルとなり得ると考えている.この精子の受精・発生能を検討した。 【方法】Wild、GOPC-hetero、GOPC-homoマウスの精巣上体尾部精子と、BDF1雌マウスの裸化未受精卵にてIVF・ICSIを行った。homo精子には卵活性化能がほとんどなく、ICSI30分後に100μsec、1.5kV/cmの直流矩形波による卵活性化処理を行った。受精判定後、KSOMで培養し、受精率及び胚盤胞までの発生率を検討した。 【成績】IVFではwildは67%、heteroは87%が受精したが、homo精子は5.7%(5/87)しか受精しなかった。wild・hetero受精卵はそれぞれ69%、77%が胚盤胞まで発生した。ICSIではWild及びheteroの受精率は85%、83%で有意差がなかったが、homo-ICSI卵は15%(10/69)と有意に低かった。このhomo-ICSI卵に電気刺激を加えると、Wildと有意差なく70%(14/20)が受精した。この胚を漸進固定・空気乾燥法で染色体を評価したが、染色体異常を認めなかった。Wild及びhomo-電気胚の発生率は91%、75%と有意差はなく、PI/ヘキスト2重蛍光染色法を用いたICM細胞数の検討でも有意差を認めなかった。 【結論】GOPC-homo精子はIVFでもICSIでも非常に低い受精率を示したが、電気刺激の併用により正常に受精し発生した。このことから精子の卵活性化因子に障害が存在し,それが遺伝子異常と密接に関連していることが推察された。
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