2004 Fiscal Year Annual Research Report
明細胞卵巣癌における糖代謝の特性とその転移機構に関する研究
Project/Area Number |
15790904
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 佳也 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30360043)
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Keywords | 明細胞腺癌 / 血栓症 / グルコーストランスポーター / 血管新生 / グリコゲン |
Research Abstract |
臨床例の解析より、卵巣明細胞腺癌症例では下肢及び下大静脈血栓症の合併が認められ、これらは原発巣の最大腫瘍径の大きい症例で認められた。動脈血栓症の合併例も多くみられたが、これらの症例では腫瘍が指摘される以前からの合併症の有無が大きく寄与していると考えられた。化学療法の効果については他の組織型と明らかな違いがみられ、最も症例数の多い漿液性腺癌で予後改善に最も寄与している白金製剤による効果は著しく低かった。イリノテカンを用いた化学療法では残存腫瘍のある症例及び再発例においてはその有用性は示唆されたが奏効率は十分ではなく、1C期における補助化学療法については予後改善に寄与する傾向は認められたものの、生存期間に対する有益性を明らかにできなかった。化学療法と血栓症のかかわりは認められなかった。グリコゲン含有量の検討の前段階としてMontagの細分類を用いて予後との関連を検討したが関連は認められなかった。免疫学的な側面から検討を加えるため、抗ヒトCD3抗体を用いた免疫組織化学的な検討を行なった。解析の結果、腫瘍内浸潤性T細胞は腫瘍の島内やそれを取り囲む間質内に存在し、これらの細胞の存在する症例では予後が良い傾向が明らかになった。腫瘍増殖に必要なvascular Endothelial Growth Factor(VEGF)と腫瘍血管新生及びの糖の取り込みの経路としてグルコーストランスポーター(GLUT)について検討した。VEGFと腫瘍血管新生には明らかな相関関係が認められた。またGLUTサブタイプ別の検討により、GLUT1については腫瘍増殖に関わり予後との関わりが示唆された。GLUT3の発現は見られなかった。明細胞腺癌のうちの一部の症例では、その働きについては明らかにできなかったがGLUT4の発現が見られることが明らかになった。
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