2004 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣癌細胞における腹膜播種性転移の分子機構の解明とその治療法への応用
Project/Area Number |
15790906
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江澤 佐知子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80327585)
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Keywords | 卵巣癌 / 腹膜播種性転移 / Rho-ROCKシグナル伝達機構 |
Research Abstract |
表層上皮性卵巣癌は診断時に既に半数近くの症例がリンパ節転移や腹腔内へと播種した進行例で発見される症例が多く、女性性器悪性腫瘍の中でも特に予後不良な癌であると考えられている。卵巣癌の予後を改善するためには腹膜播種やリンパ節転移を特異的に制御するための治療法を開発する必要がある。Rho-ROCKシグナル伝達系を介した分子機構が播種性の転移に関連があるとの報告があり、卵巣癌においてもその分子機構の存在が考えられる。本研究では、Rho-ROCK経路の阻害剤であるY-27632による播種抑制効果を検討することにより、卵巣癌に対する新しい治療法の開発を目的とした。 (1)卵巣癌由来培養細胞株におけるY-27632によるアクチン束の形成阻害効果の検討:各種卵巣癌由来培養細胞株にY-27632を添加し(0、1、10、25、100μM)添加1時間後の各種細胞のアクチン束形成阻害効果を解析した。なお、アクチン束はRhodamine phalloidin (Molecular Probes)にて染色を行う。Y-27632添加によりアクチン束形成阻害が可能であった卵巣癌由来培養細胞株(RMG-I、RMG-II、RMUG-S)の同定に成功した。 (2)in vivo実験:卵巣癌由来培養細胞株RMG-I、RMG-IIそしてRMUG-Sを用いたそれぞれの腹膜播種モデルマウスに対して、各種濃度のY-27632を腹腔内投与した結果、残念ながらY-27632による腹膜播種抑制効果は得られなかった。
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