2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト精子形成にともなう核タンパク質のプロテオーム解析、および男性不妊との関連
Project/Area Number |
15790910
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 宏之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10327596)
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Keywords | ヒト / 精子 / 核蛋白 / プロテオーム / プロタミン / ヒストン / 二次元電気泳動 |
Research Abstract |
精子特異的核タンパクであるプロタミンは、精子核の凝縮、および卵子への侵入後の迅速な脱凝縮に関与するとともに、1型と2型があるこのタンパクの構成比と男性不妊の関係も報告されているが、強塩基性かつ小分子量タンパク質であるために通常の中性蛋白分離に用いられるIPGなどの2次元電気泳動システムでは分離することが不可能であり、これまでその分子修飾を含めた定量的解析を行ったという報告はデータベース上見られない。 本研究において我々はacid-urea電気泳動法を基礎とする2次元電気泳動法(以下RFHR法と略)によりプロタミンを含む精子核塩基性蛋白を単一ゲル上で、高い再現性を持って分離可能であることを明らかにし、精子核から12個の独立したスポットを分離し得た。N末端アミノ酸配列分析の結果、5スポットは1型プロタミン、6スポットは2型プロタミン、1スポットは精巣特異的ピストン(testis-specific histone 2B)と推定された。2型プロタミンと考えられるスポットはそれぞれこれまで報告されているHPI1、HPI2、HPS1、HPS2、HP2、HP3と一致した。CBB染色によるDensitometryの結果、精子内のピストンは核内塩基性タンパクの15%であり、またP1/P2比は1.02で、従来の報告と一致していた。さらにHPI1を1とした場合の、HPI2、HPS1、HPS2、HP2、HP3のタンパク量はそれぞれ0.6000、1.116、2.083、3.267、2.455と推定された。 一方研究計画では男性不妊患者検体の解析をその臨床背景とともに行い不妊との関係を検討する予定であったが、解析に要する精子数は最低でも5000万と乏精子症では解析困難であり、この中では特徴的な差は見られなかった。同時に、モデル動物としてマウス精子を用いる実験も進行中であるが、やはり数の問題から確定的な結果を得るに至らなかった。
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