2003 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSFのヒト卵巣機能における局所調節機構の解明についての研究
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15790916
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
渡邊 之夫 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30340003)
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Keywords | 排卵 / G-CSF / G-CSF mRNA / 卵巣 / 顆粒膜細胞 / 莢膜細胞 / 黄体組織 |
Research Abstract |
(1)(研究背景)これまでに、ヒト卵巣局所において卵巣周期毎のG-CSF蛋白およびG-CSF mRNAの局在や動態を検討してきた。これらの結果から、G-CSFが排卵を中心とする卵巣機能に深く関与していることを明らかにしてきた。 (2)(目的)本年度はG-CSFおよびそのreceptorが卵巣組織のどの部位に局在しているかを、免疫組織染色法を用いて明らかにした。 (3)(方法)1998年4月から2003年12月までに当科にて何らかの理由で卵巣生検、あるいは卵巣部分切除術を受けた自然月経周期を有する女性(n=16)から同意を得て手術摘出標本を抽出し、抗G-CSFモノクローナル抗体および抗G-CSF receptorモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色を行い、局在部位を小卵胞(1cm未満)、大卵胞(1cm以上)、黄体、間質などにわけて染色の程度を検討した。 (4)(成績)G-CSFの局在が確認されたのは、大卵胞および小卵胞での顆粒膜および莢膜細胞と黄体組織であり、間質は染色されなかった。染色の程度を比較したところ、最も強く染色されたのは、大卵胞の顆粒膜細胞であり、次いで小卵胞の顆粒膜細胞であった。また、同様にG-CSF receptorの局在が確認されたのも卵胞の顆粒膜細胞および黄体であり、間質は染色されなかった。特に大卵胞の顆粒膜細胞において染色の程度が強く認められ、小卵胞の顆粒膜細胞および黄体では、染色の程度は弱かった。 (5)(結論)G-CSFおよびそのreceptorは、排卵直前の大卵胞において多く認められ、G-CSFが、排卵直前の卵巣の顆粒膜細胞に働き、排卵を中心とした卵巣機能の局所調節因子として重要な役割を演じている可能性が明らかとなった。 次年度は、ヒト顆粒膜細胞および莢膜細胞培養系を用いて、G-CSFや過去に動物実験などにおいて卵巣機能の局所調節因子と推測されている各種サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6、IL-8、GM-CSF、M-CSF)、性腺刺激ホルモン(LH、FSH、hCG)、Estrogen、Progesteroneの添加刺激実験を行い、それぞれのサイトカインやEstrogen、Progesterone産生能について培養上清濃度測定による検討を行い、排卵機構におけるサイトカインネットワークの中でのG-CSFの重要性を明らかにする予定である。
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