2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーキャプチャー・ダイセクションとPCRによる側頭骨組織からの難聴遺伝子解析
Project/Area Number |
15790924
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
古宇田 寛子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80334423)
|
Keywords | レーザーキャプチャー・マイクロダイセクション / TaqMan PCR / 遺伝子解析 / 内耳組織 / ミトコンドリア遺伝子異常 / MELAS |
Research Abstract |
レーザーキャプチャー・マイクロダイセクションとTaqMan PCRを用いて、遺伝性感音難聴をきたす疾患であるMELASの側頭骨組織から難聴遺伝子解析を行っている。MELASはミトコンドリアDNA3243変異に起因する母系遺伝の疾患で神経症状、筋症状とともに感音難聴をきたす。その側頭骨組織の病理学的所見としては、血管条の萎縮とラセン神経節細胞の減少が特徴的であった。しかしそれらから抽出したミトコンドリアDNA3243の変異率は必ずしも組織学的所見と一致するものではなく、個々の細胞レベルでの検討も必要であると考えられた。 今回我々は、これまでにMELAS内耳の蝸牛有毛細胞、血管条、ラセン神経節細胞などの各組織からLaser Capture Micro Dissection (LCM)により窒素レーザーで細胞を取り出し、そこからDNAを抽出した。さらにそれをミトコンドリアDNA3243をターゲットとしてTaqMan PCRを用いて増幅し、そこから各組織の変異率を同定することを試みた。その結果、内耳各組織におけるミトコンドリアDNA3243の変異率は、有毛細胞1.25%,血管条0.68%,ラセン神経節43.97%,球形嚢38.68%,卵形嚢9.60%,顔面神経2.79%,聴神経27.2%であった。これらの結果は血管条以外の組織では比較的病理学的所見と一致するものであったが、血管条においては相応しないものであった。また値の一定性についてもまだ安定はみられず、これまでの報告との相違も含めて、今後も検討を重ねていく予定である。 また今後は、ミトコンドリア遺伝子7511の異常により非症候性感音難聴をきたした側頭骨標本についても同様の解析を行う予定である。
|