2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790938
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
綿貫 浩一 山口大学, 医学部, 助手 (30346556)
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Keywords | 嗅覚 / 嗅覚検査 / 瞳孔対光反応 / 自律神経反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、煩雑な装置や手技を用いることなく、簡便かつ非侵襲的に客観性のある嗅覚検査法を確立することである。アルツハイマー病などの痴呆を有する患者や構音障害のある患者ではコミュニケーションがうまくとれずに従来の嗅覚検査法では判定不能な場合も少なくなかったが、本方法を開発することにより、他覚的に嗅覚を評価し、嗅覚障害をきたす可能性のある中枢性疾患の補助診断を行うことができる。 今年度は、喚覚健常者を被験者として、正常な瞳孔対光反応のパターンを検討し、縮瞳率を中心としたパラメーターの変化についてデータを集積し、以下め結果を得た。 1.個人間のデータを比較するには、ばらつきが大きく、正常範囲の決定は困難であった。 2.個人内では、各種条件に置いて客観性・再現性ともに良好であった。 3.本検査法の結果と、これまで行われてきた主観的検査(基準嗅覚検査・静脈性嗅覚検査)を比較したが、嗅覚の認知閾値において関運性を認めた。 本方法は比較的簡便な装置で短時間に嗅覚を評価でき、被験者への負担も少ないことが確認できた。個々の被験者の瞳孔対光反応を不快臭刺激前後で比較することにより、縮瞳率の変化に一定の傾向を認め、再現性のある嗅覚の指標として用いることが可能であり、他覚的嗅覚検査法として応用可能であることが示唆された。本方法が確立されれば、嗅覚障害患者の診断や治療効果判定に大きく貢献するものと考える。今後は実際の症例でのデータを集積し、比較検討する予定である。
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