2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15790964
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
宇野 雅子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30341118)
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Keywords | 悪性黒色腫 / ホウ素熱中性子捕捉療法 / Tyrosinase / メラニン合性能 / 遺伝子治療 / パラボロノフェニルアラニン |
Research Abstract |
黒色腫担癌ハムスターを用いてBNCT(ホウ素熱中性子捕捉療法)照射実験を行ない、メラニン合成能がBNCTの抗腫瘍効果におよばす影響を検討した。基礎実験でメラニン合成能とBNCTによる抗腫瘍効果が相関することから、メラニン合成のKey enzymeであるTyrosinase遺伝子を黒色腫細胞に導入、ホウ素化合物(Tyrosine analogue)の取り込み量の増加とBNCTにおける抗腫瘍効果の増強が得られるかを検討した。 ハムスター由来Amelanotic melanoma(D178)をシリアン・ハムスター(6週齢)の腎部皮下に移植し、腫瘍生着(約10日間)後、Tyrosinase遺伝子を6μg腫瘍にDirect injectionした遺伝子導入群(TD178)と、plasmidのみをDirect injectionした対象群(D178)を作成した。遺伝子導入4日後、遺伝子導入群においてTyrosinaseの発現量の増加が認められた。ホウ素化合物(パラボロノフェニルアラニン)400mg/kg腹腔内投与2時間後のTD178、D178それぞれにおける正常皮膚、および腫瘍内ホウ素濃度をICP-AESを用いて測定したところ、正常皮膚のホウ素濃度は両群に有意差はみられなかったが、TD178において腫瘍内ホウ素濃度の増加(D178に比較して約1.9倍)を認めた。このとき、熱中性子線を同線量照射した結果、皮膚反応は同程度のままでTD178に有意な腫瘍抑制効果が得られた。すなわち、Tyrosinase遺伝子の腫瘍内Direct injectionにより、メラニン合成を誘導し、ホウ素化合物の腫瘍内取り込み量を増加させることができ、BNCTの抗腫瘍効果の増強が得られた。
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