2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15790964
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
宇野 雅子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30341118)
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Keywords | 悪性黒色腫 / ホウ素熱中性子捕捉療法 / Tyrosinase / TRP-2 / メラニン合成能 / 遺伝子治療 / パラボロノフェニルアラニン |
Research Abstract |
黒色腫担癌ハムスターを用いてBNCT(ホウ素熱中性子捕捉療法)照射実験を行ない、メラニン合成能がBNCTの抗腫瘍効果におよぼす影響を検討した。平成16年度の研究では、メラニン合成のKey enzymeであるTyrosinase遺伝子を無色素性黒色腫細胞に導入した場合、ホウ素化合物(Tyrosine analogue)の取り込み量の増加とBNCTにおける抗腫瘍効果の増強が得られた。 今年度の研究では、放射線、抗癌剤抵抗性因子としてその可能性が報告されているTRP-2に着目し、TRP-2の発現がみられるハムスター由来色素性黒色腫(RPMI-1846)およびTRP-2の発現がみられない無色素性黒色腫(FF)を用いて検討した。これらの細胞をシリアン・ハムスター(6週齢)の臀部皮下に移植し、腫瘍生着(約10日間)後、FFについてはTyrosinase遺伝子導入群(TFF)を作製した。遺伝子導入3日後、TFFはTyrosinaseの発現量がRPMI-1846と同程度認められたが、TRP-2の発現はみられないままであった。また、組織学的検討ではメラニン顆粒も認められなかった。ホウ素化合物(パラボロノフェニルアラニン)400mg/kg腹腔内投与2時間後のRPMI-1846、TFF、FFそれぞれにおける正常皮膚、および腫瘍内ホウ素濃度をICP-AESを用いて測定したところ、正常皮膚のホウ素濃度は各群に有意差はみられなかったが、RPMI-1846、TFFにおける腫瘍内ホウ素濃度はFFに比較して有意に高かった。このとき、熱中性子線を同線量照射した結果、RPMI-1846、TFF群の腫瘍抑制効果は同程度であった。すなわち、黒色腫におけるBNCTの抗腫瘍効果に影響を与える因子はTyrosinaseであり、TRP-2発現量および真性メラニン合成量には無関係であることが示差された。
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