2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児の発達に伴う喉頭腺の発現と局所防御についての基礎的研究
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15790965
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 助手 (20299514)
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Keywords | 小児喉頭 / 声門下 / total development score / 喉頭腺 / 画像解析 |
Research Abstract |
喉頭にも粘膜組織による生体防御能が存在することが明らかになってきたが、局所免疫の場である喉頭粘膜が、小児が成長する過程において形態および機能の面でどのように変化するのかはほとんど把握されていない。そこで、小児喉頭を対象に声門下喉頭面での形態(面積)の変化と粘膜内喉頭腺の分布様式の解析をした。対象として小児摘出喉頭65例を用い輪状軟骨弓部水平断面のHE染色切片を作成した。顕微鏡に転結したCCDカメラから画像解析ソフトへ取り込み、モニター上の声門下喉頭の各部分の面積を計測した。各小児の実質的成長度の指標として、死亡時の年令(週数)に在胎期間(週数)を加えたTotal Development Score(以下TDS)を用いた。これまでに知り得た結果として、全体面積、輪状軟骨面積、最大呼吸面積、粘膜面積、内腔面積とTDSとの間の強い相関をみとめた。また、TDSの増加にともなう内腔径の増加率は粘膜厚の増加率に比べてはるかに高かった。さらに、TDSの増加にともない腺組織面積は粘膜面積とともに増加し、腺組織の粘膜内に占める比率も増加していた。最大呼吸面積の増加に対して内腔面積の増加の比率が有意に高いが、粘膜の厚さはほとんど増加していなかったという結果から、小児喉頭声門下は成長と共に相対的に内腔が広くなり安定化することが示唆された。粘膜内腺組織の比率の増加は、それだけ腺組織による局所免疫現象の活性化につながると考えられ、気道としての安定化とともに小児の喉頭の病態に大きく影響していることが推察された。小児の喉頭での腺組織分布の様式と変化は、喉頭疾患の病態生理を知る上で重要であり、今後は喉頭各部位での粘膜の変化と喉頭腺の役割について検討する。また、免疫組織学的にも解析し検討する予定である。
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Research Products
(1 results)