2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791022
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
山口 晶子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (80346676)
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Keywords | 尿道下裂 |
Research Abstract |
本研究において、自然妊娠した雌ラット(Sprague-Dawley rat)の母体に0.5%カルボキシメチルセルロース溶液に溶解したFlutamide 15mgを連日腹腔内に投与し、その母体から出生した胎仔を尿道下裂モデルラットとし、溶媒のみを投与したラットから出生した胎仔を正常モデルとして研究を進めてきた。Flutamide 15mgを連日腹腔内に投与することで生まれた胎仔は100%尿道下裂となることが確認されている。 次に尿道下裂モデルラットの胎生16.5日〜出生時までの尿道を連日採取し、HE標本とし、環状断・矢状断のHE染色標本を作製した。尿道下裂モデルでは、尿道は亀頭部先端まで形成されず、陰茎の途中、ヒトでいうMiddle penile typeの尿道下裂の位置に外尿道口が開口すること、また環状断で尿道海綿体の形成が不十分であることが確認された。逆に正常モデルでは、尿道は亀頭部先端に開口し、出生時の標本では尿道海綿体が十分形成されており、亀頭部の尿道が尿道海綿体に覆われている所見が確認できた。 また電子顕微鏡によっても尿道及び陰茎の形成過程を検討した。まず、明らかに亀頭部の長径及び陰茎の長さにおいて、両者とも正常モデルの方が優位に大きかった。次に、胎生16.5日ではどちらのモデルも外尿道口は陰茎陰嚢起始部に開口しているが、正常モデルでは外尿道口は徐々に亀頭部先端へと移動し、また包皮が形成され、包皮が陰茎腹側で癒合し、尿道を包んでいく様子が確認された。逆に尿道下裂モデルでは、外尿道口と思われる陥凹は、陰茎陰嚢起始部に存在し、亀頭部先端への移動は確認されなかった。また包皮の癒合も不十分であり、腹側では包皮の癒合は出生時においても確認されなかった。 今後は、尿道におけるアンドロゲンレセプターの発現量及び分布など尿道形成にかかわる因子につき検討していきたいと考えている。
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