2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管奇形(海綿状血管腫,蔓状血管腫)の発病・進展に関与する遺伝子変異に関する研究
Project/Area Number |
15791029
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
森田 礼時 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (00350778)
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Keywords | 血管奇形 / 血管肉腫 |
Research Abstract |
本研究では血管奇形の病変部を対象として、血管奇形(静脈奇形)における異常が指摘されているTIE2遺伝子およびAngiopoietin1およびAngiopoietin2について検討し、血管奇形の発病・進展に重要な役割を演ずる遺伝子の異常を明らかにする。 【対象】 金沢医科大学形成外科および金沢大学皮膚科において1985年から2002年の間に外科的切除が行われた血管奇形患者48例(静脈奇形40例、動静脈奇形8例)および血管肉腫患者9例を対象とした。 【方法】 〔1:RNAの抽出〕血管肉腫凍結組織9例からRNAを抽出し各々のcDNAを作成した。 〔2:RT-PCR〕RT-PCR法にて血管肉腫組織におけるTIE2、Angiopoietin1、Angiopoietin2、VEGFのmRNAレベルにおける発現を定量化した。 〔3:免疫染色〕血管肉腫凍結組織に対応するパラフィン包埋切片を作成し、TIE2、Angiopoietin1、Angiopoietin2、VEGFの蛋白発現を免疫組織学的に検討した。 〔4:ELISA〕血管肉腫患者7例の保存血清において、ELISA法にてAngiopoietin2およびVEGFを測定した。 【結果】 RT-PCR法による解析の結果、血管肉腫病変において、Angiopoietin2、VEGFの発現は正常血管組織と比較して有意に高かった。TIE2、Angiopoietin1において有意差は認めなかった。 ・免疫染色法において、血管肉腫病変でAngiopoietin2、VEGFの発現の増強を認めた。ELISA法による血管肉腫患者血清の解析の結果、Angiopoietin2、VEGFは原発腫瘍切除段階では異常値は示さなかった。しかし、転移病変の出現期においてAngiopoietin2、VEGFが高値を示した。 【平成16年度の研究計画】 ・平成15年度の血管肉腫についての解析結果を参照として、平成16年度には血管奇形病変の解析を進める予定である。
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