2003 Fiscal Year Annual Research Report
多分化能を有する幹細胞を用いた唾液腺組織再生の試み
Project/Area Number |
15791050
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
美島 健二 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50275343)
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Keywords | 唾液腺 / 口腔乾燥症 / 組織幹細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
C57BL/6マウス(6週齢)10匹から摘出した唾液腺組織をコラゲナーゼとヒアルロニダーゼを用いて細片化し40μmのフィルターにより赤血球や線維芽細胞などの非上皮系細胞を除去した。さらにフィルターにより濾過された細胞塊をトリプシン処理し細胞を分散化し、この分散化した細胞をABC transporterの阻害剤であるレゼルピンで処理した後Hoechst33342で染色した細胞群と、Hoechst33342のみで染色した細胞群にわけFACS(自動細胞分離装置:フローサィトメトリー)により解析した。その結果、組織幹細胞を多数含むと考えられ骨髄や肝臓などではすでに同定されているSide population cell(SP細胞)と呼ばれる細胞が同定されsortingにより純化された。また、SP細胞はbreast cancer resistant protein1(Bcrp1)を発現しているためHoechst33342色素の排除能を持つと考えられているので、唾液腺のSP細胞をBcrp1の阻害剤であるレゼルピンで処理した後SP細胞を検出した結果、その消失が認められた。従って、同定された唾液腺のSP細胞も他臓器のSP細胞と同様にBcrp1の機能を有していると確認された。加えて、RT-PCRにより、その発現を確認した結果SP細胞ではnon-SP細胞(MP細胞)と比較して強いBcrp1 mRNAの発現が認められた。次に、これまで組織幹細胞のマーカーとして報告されているSca1、Oct4、c-Kit、およびCD34の発現についてRT-PCRにより解析した結果、MP細胞でも発現はみられSP細胞特異的ではないものの唾液腺にSca1陽性細胞の存在が確認された。次年度は唾液腺SP細胞を用いた、疾患モデルマウスの治療実験を行う予定である。
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