2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791065
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40316154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲永 清敏 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90131903)
本田 栄子 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (00047812)
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Keywords | ニコチン / ムスカリン / アセチルコリン / 脳弓下器官 / 中枢神経系 / 口腔機能 / 渇き / ラット |
Research Abstract |
タバコの煙の中にはニコチンが含まれ、肺から吸収された後に末梢だけでなく血液脳関門を通過するため中枢神経系全体にも作用する。喫煙は口腔癌や歯周病のリスクファクターであるとされるが、ニコチンの末梢作用に対する報告は豊富なのに対して、中枢におけるニコチン受容による口腔機能への変化に対する報告はほとんどない。そこで、本研究は中枢でのニコチン受容機構を明らかにし、その作用により口腔機能(組織)に変化が起こるかどうかを検討するために計画された。 本年度は、ラット脳弓下器官スライスを用いたパッチクランプ実験について成果が得られた。脳弓下器官は第3脳室前壁に位置する中枢神経核であり、渇き感覚の誘発や循環動態に関与するとされている。ニコチンの作用はニコチン性アセチルコリン受容体を介する。脳室内ムスカリン刺激では飲水行動が誘発されるのに対しニコチン刺激では誘発されないため、脳弓下器官におけるニコチン性受容体の存在は疑われていた。しかし、本研究にてニコチンにより脳弓下器官ニューロンは興奮し、α4β2受容体サブタイプ拮抗薬により反応が抑制された。さらに免疫染色法により脳弓下器官にα4サブユニットが存在する事を示した。一方、脳弓下器官ニューロンはムスカリンによってもM3受容体を介して興奮する事を明らかにしたが、単一細胞レベルでニコチンとムスカリンに対する反応性を調べた所、ニコチン反応性が優位な細胞とムスカリン反応性が優位な細胞とに分けられた。これは、ニコチン優位細胞は循環系に関与しても口渇感誘発には関与せず、ムスカリン優位細胞は口渇感誘発に関与するという可能性を示す。脳弓下器官は循環系変化に加えて神経性にも唾液腺へ影響を与えるため、本年度実績から明らかになった機構が口腔機能変化とどのように結びついているかについては、インビボ実験を含めて現在検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Ono K, Honda E, Toyono T, Kataoka S, Nakamura T, Inenaga, K: "Evidence for the presence of nicotinic receptors on rat subfornical organ neurons."Autonomic Neuroscience. 108. 87-90 (2003)
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[Publications] Inenaga K, Honda E, Ono K.: "Diversity of the muscarinic and nicotinic responses of subfornical organ neurons in rat slice preparations."Neuroscience Letters. 354. 135-138 (2003)
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[Publications] Honda E, Ono K, Toyono T, Kawano H, Masuko S, Inenaga K: "Activation of muscarinic receptors in rat subfornical organ neurons."Journal of Neuroendocrinology. 15. 770-777 (2003)