2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨および神経細胞再生治療におけるビオプテリン補酵素の役割を探る
Project/Area Number |
15791067
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
藤本 健吾 明海大学, 歯学部, 助手 (90286013)
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Keywords | テトラヒドロビオプテリン / セピアプテリン還元酵素 / アンチセンスオリゴヌクレオチド / PC12細胞 |
Research Abstract |
テトラヒドロビオプテリン(BH_4)はチロシン水酸化酵素や一酸化窒素合成酵素(NOS)の重要な補酵素として働いているため、神経伝達物質合成に不可欠な因子である。また、NOがグアニル酸シクラーゼを直接活性化してcGMPを産生させ、cGMPはcGMP依存性プロテインキナーゼを活性化するというNO-cGMP系が、神経細胞の樹状突起の伸長に関与しているとの報告がある。今年度は、PC12細胞にSPRのアンチセンスオリゴヌクレオチドを導入し、一過性にSPR活性を阻止させることによるBH_4欠乏が細胞にどのような影響を及ぼすのか検討した。ラットSPRの5'側cDNA塩基配列が決定されていないため、抽出m-RNAからcDNAを合成し、シークエンスすることによりラットSPRの5'末端部分の塩基配列を決定した。この塩基配列をもとに、最適なアンチセンスオリゴヌクレオチドをデザインした。合成したアンチセンスオリゴヌクレオチドはリポフェクチンによりPC12細胞に導入した。その結果、アンチセンスオリゴヌクレオチド導入により、SPR活性はほぼ完全に検出できないレベルとなった。それに伴い細胞内のBH_4量も減少した。さらにアンチセンスオリゴヌクレオチド導入は、PC12細胞の増殖や神経突起の伸長を顕著に抑えることが判明した。アンチセンスオリゴヌクレオチド導入により、アポトーシスやネクローシスが起こっていない事より、PC12細胞の増殖や神経突起の伸長抑制効果は、BH_4欠乏により引き起こされることを意味している。骨芽細胞でもBH_4の増殖能への影響があることから、SPRおよびその生成産物であるBH_4は神経細胞の分化増殖機構を司る重要な因子の1つであることが考えられた。
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Research Products
(1 results)