2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移抑制因子テトラスパニンCD9,CD82による口腔癌転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
15791075
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉浦 剛 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40322292)
|
Keywords | CD82 / KAI-1 / integrin / EGF受容体 / HGF受容体 |
Research Abstract |
【目的】CD82/KAI-1は癌転移抑制因子として同定され、権々の悪性腫瘍において本因子の高発現が良好な予後と相関することが報告されている。本因子はtetraspanin superfamilyに属する4回膜貫通型蛋白で、integrinとのcomplexまたは他の細胞膜蛋白を介して癌細胞の機能を制御していると考えられているが、そのメカニズムについては明らかにされていない。そこで培養癌細胞株にCD82を強制発現させ、CD82/KAI-1との相関をEGF、HGF等の増殖因子受容体を中心に検索した。 【方法と結果】まず、CD82遺伝子を癌細胞に導入しstable cell lineとして樹立した。このCD82強制発現細胞の細胞遊走をtime lapse videoにて観察した。その結果、EGF、HGFによる細胞遊走が対照細胞と比較して約90%抑制された。また、lamellipodiaの形成が対照細胞に対して明らかに抑制されていた。 CD82導入癌細胞株のcell lysateを抗CD82抗体にて免疫沈降すると、EGF受容体とHGF受容体が複合体として共沈された。また、抗α3integrin抗体による免疫沈降ではEGF受容体分子は共沈されずCD82のみが共沈された。このことよりtetraspanin-integrin complexとは別の複合体を形成していると考えられた。 次に、EGFまたはHGF添加時の各受容体のチロシンリン酸化の経時的変化をwestern blotにて検討したところ、EGF受容体の脱リン酸化が遅延し、一方、HGF受容体では脱リン酸化が促進していた。 以上の実験結果より、CD82がintegrin signalingだけでなく、EGF、HGF受容体signalingも修飾し、細胞動態を制御している可能性が示唆された。
|