2005 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移抑制因子テトラスパニンCD9,CD82による口腔癌転移抑制療法の開発
Project/Area Number |
15791075
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉浦 剛 九州大学, 大学病院, 助手 (40322292)
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Keywords | CD82 / KAI-1 / integrin / EGF受容体 / HGF受容体 |
Research Abstract |
テトラスパニン・スーパーファミリーに属する癌転移抑制因子CD82/KAI-1は他の細胞膜表面の受容体や蛋白質と結合することにより結合蛋白質の生物学的活性を調節すると考えられている。本研究では多くの癌悪性形質の発現と関わる肝細胞成長因子(HGF)の受容体であるc-MetとCD82の相互作用に注目した。 まずCD82を高発現している口腔扁平上皮癌細胞HSC-2ではCD82とc-Metは蛋白質複合体を形成していた。次にCD82-c-Met複合体の機能を明らかにするために、元来CD82を発現していない非小細胞性肺癌細胞h1299にCD82を強制発現させた。興味深いことに、CD82の強制発現はHGFによる葉状突起の形成と細胞遊走を著明に抑制したが、HGF結合によるc-Metのチロシンリン酸化に影響を及ぼさなかった。 さらにCD82のc-Metシグナリングに与える影響を検討したところ、CD82は選択的にRas-Cdc42/Rac1とPI3K-Cdc42/Rac1経路のシグナルを減弱する一方、他のc-Metシグナル伝達経路、PI3K-AktとMAPKカスケードには全く影響を与えなかった。加えて、CD82強制発現細胞においてα6インテグリンあるいはGrb2、PI3K(p85)のようなRas及びPI3Kの活性化をもたらすc-Metのシグナル伝達アダプター蛋白質はc-Metとの結合が減弱していた。 これらの結果より、CD82はc-Metと複合体を形成し、c-Metアダプター蛋白質の結合を阻害することによりCdc42,Rac1の活性化を抑制し、細胞骨格系を制御して、HGF刺激による癌細胞の遊走を抑制することが明らかになった。
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Research Products
(4 results)