2003 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー切削面における接着性レジンシステムの象牙質接着機構に関する研究
Project/Area Number |
15791097
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
播磨 貴裕 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90343293)
|
Keywords | Er:YAGレーザー / CO_2レーザー / 接着性レジン / 齲蝕象牙質 / 象牙質接着 / C-factor / 形態学的研究 / 分析化学的研究 |
Research Abstract |
新鮮抜去牛前歯に形成されたクサビ状欠損窩洞表面を,Er:YAG(アーウィン^<【○!R】>,60mJ,10pps)及びCO_2レーザー(トパル^<【○!R】>,1W,0.3s)を照射し,Clearfil Mega Bond/AP-XあるいはSingle Bond/Z100を修復後,37℃水中に24時間保存した。それらについて微小引張り試験法により接着性の検討を行うと共に,光学,走査電子,透過電子顕微鏡やサーモグラフを用いてレーザー処理象牙質表面の性状を解析した。また,レーザー処理象牙質平坦面におけるレジンの接着強さも測定し,C-factorが接着強さに及ぼす影響も検討した。さらに,レーザー処理象牙質における齲蝕検知液の染色性についても検討した。 レーザーによる象牙質蒸散により構造欠陥や熱変性層が生じ,レジンの接着性は有意に低下した。いわゆる「レーザーエッチング」による接着促進効果は認められなかった。また,平坦面に比しクサビ状欠損窩洞では,レジンの初期接着性は低下し有意差が認められた(p<0.01)。一方,齲蝕検知液はレーザー処理健全象牙質を染色することも明らかとなった。 Er:YAGまたはCO_2レーザー照射は,レジンの象牙質接着性を阻害することが判明した。レーザー処理象牙質におけるレジンの接着性の評価時には,平坦面のみならずC-factor値の大きい窩洞においても検討する必要があり,さらにサーモストレスや繰り返し負荷を与えるなどの接着耐久性を含め総合的に考察を加える必要性があると考えられた。また,レーザー処理象牙質面に対し安定したレジンの接着を獲得するには,現段階ではこれらの構造欠陥や熱変性層を除去する必要があると思われた。さらに,現時点では,レーザーによる象牙質齲蝕治療のガイドライン確立に先立って,種々の問題を解決しなければならないことが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 荒川 真: "回転切削器具により切削した象牙質に対する接着強さ"日本歯科保存学雑誌. 46(秋季特別号). 74 (2003)
-
[Publications] 播磨 貴裕: "レーザー処理象牙質におけるレジンの接着-C-factorの影響について-"第15回日本レーザー歯学会総会・学術大会プログラム/講演抄録集. 65 (2003)
-
[Publications] Hideaki Shintani: "Studies on Laser Applications to Dental Hard Tissues"Dentistry in Japan. 39. 193 (2003)
-
[Publications] 新谷 英章: "歯牙硬組織切削用レーザーによる象牙質切削に関する研究"日本歯科医学会誌. 22. 62-69 (2003)
-
[Publications] Morioki Fujitani: "Does Er:YAG or CO_2 laser ablation of dentin affect the adhesive properties of resin bonding systems?"Excerpta Medica International Congress Series. 1248. 161-166 (2003)
-
[Publications] Isao Ishikawa: "Lasers in Dentistry Revolution of Dental Treatment in the New Millennium"Lasers in Dentistry Revolution of Dental Treatment in the New Millennium. 489 (2003)