2005 Fiscal Year Annual Research Report
短縮歯列への補綴修復治療-その種類別臨床効果と選択基準-
Project/Area Number |
15791119
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
金田 恒 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (60322103)
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Keywords | インプラント / 有床義歯 / 咀嚼能率 |
Research Abstract |
片側遊離端の少数歯欠損のような症例では,その補綴処置の必要性について,統一した見解が得られていない.そこで,我々が開発した口腔内における粉砕食物の移送様相を追求する方法を用いて、片側遊離端症例に対してどのような補綴処置を施すべきなのかを明らかにすることを目的とした. 下顎の片側遊離端欠損のみを有し,インプラント修復を行う成人を被験者とした. 3種類の実験用義歯(1)正常な咬合面形態(2)舌側咬頭のみ(3)人工歯がなく床部分のみと(4)義歯を装着しないという4条件では,粉砕能力に差は認められなかったが,舌側貯留率は(1)(2)が(3)(4)よりも有意に高かった.これは,舌側咬頭により固有口腔が確立されたためと考えられる.また,インプラント修復後に同様の咀嚼評価を行ったところ,片側遊離端義歯装着時((1)正常な咬合面)と比較して,粉砕能力,舌側貯留率ともに差はなかった. 今回の研究から義歯装着,インプラント修復により,固有口腔の確立という有効性をもつことが明らかとなった.固有口腔という空間を確立することにより,食物の舌側への貯留,嚥下の準備を行い,口腔前庭に食物が滞留することによる誤嚥性肺炎の防止という面では非常に補綴修復が有効に作用すると思われる. しかし,今回の研究の目的である補綴修復の種類による差は,舌側への食物移送能力という観点においては認められなかった.つまり,片側遊離端の少数歯欠損のような症例には,種類に関係なく補綴修復を施すことが重要であると考えられる. が,片側遊離端の部分床義歯とインプラントの2種類の補綴修復を体験した被験者は,インプラントにして食物が食べやすくなった,義歯の取り外しの手間がなく使いやすい,などの意見が多く,主観的な評価には差が認められると思われた.
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