2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791125
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山城 啓文 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00346511)
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Keywords | ドライマウス / 口腔内潤滑補助剤 / 口腔カンジダ症 |
Research Abstract |
義歯使用患者はドライマウスによって口腔カンジダ症の進行を示すことから、口腔内潤滑補助剤の開発に先駆けて、まず現在市販されている口腔内潤滑補助剤に対する細菌学的な検討を行った。義歯使用患者が口腔内潤滑補助剤を用いた口腔内の環境を想定して細菌の増殖能などの実験系で検討を行った。すなわち、10.0×10.0×0.7mmの加熱重合型床用アクリリックレジンプレート用意し、現在市販されている口腔内潤滑補助剤3種類(オーラルバランス、サリバデント)を各レジンプレートに塗布した。塗布後、レジンプレートを24穴マルチウェルプレートの底面に置き、500μlの唾液、血清を接種し37℃で1時間処理した。処理後、唾液および血清を吸引除去し、1×10^5cells/mlに調整したCandida albicans A2を50μl接種して37℃で2時間初期付着させた。初期付着後、2mlのSabouraud brothを加え、37℃で9、12時間培養した。9、12時間後、試料を取り出し滅菌蒸留水で3回洗浄し定着していない菌を除去した。レジンプレートに定着した菌の細胞内ATPを抽出し、ATP量をATPアナライザーを用いて測定した。9時間後の定着量は、未処理、唾液および血清処理したレジンプレートにおいてオーラルバランスでの値は、菌未塗布のレジンプレートと比較して約1/2の値を示した。サリバデント塗布のレジンプレートは未塗布のレジンプレートと比較して、未処理では4倍、唾液処理では3.5倍、血清処理では4倍の値を示した。12時間後の定着量は、未塗布のレジンプレートと比較してオーラルバランスでの値は、菌未処理ではほぼ同じ値、唾液処理では1/6、血清処理では1/3の値を示した。サリバデント塗布のレジンプレートは未塗布のレジンプレートと比較して、未処理では7倍、唾液処理では4倍、血清処理では2倍の値を示した。従来から用いられている人口唾液であるサリバデントと比較してオーラルバランスは全ての処理において、菌の定着量が少ない値を示した。オーラルバランスには、抗菌物質としてリゾチームやラクトペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなどの抗菌物質が含まれており、これらの抗菌物質の影響が表れた結果となり、抗菌物質の重要性が示唆された。
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