2003 Fiscal Year Annual Research Report
咬合・咀嚼に起因する情動ストレスが海馬における神経内泌系に及ぼす影響
Project/Area Number |
15791131
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
牧浦 哲司 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (90347774)
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Keywords | HPA系 / Glu / GABA / GAD / 海馬 / ストレス / ラット / グルココルチコイド |
Research Abstract |
ストレス刺激に対する内分泌系の代表的な応答システムとして視床下部-下垂体-副腎皮質系(以下、HPA系)がある.本研究は、固形物の咀嚼を習性とするラットを用いて、固形飼料飼育時と粉末飼料飼育時におけるHPA系関連ホルモンの測定、ならびに、海馬のグルタミン酸(以下、Gluとする)とその代謝産物であるγ-アミノ酪酸(以下、GABAとする)濃度、さらに、グルタミン酸脱炭酸酵素(以下、GAD)活性能の測定を予定している。なお、ストレス応答によって副腎皮質から分泌されるグルココルチコイドは記憶に関与する海馬の神経細胞に対して神経毒性を示すこと、さらに、この神経毒性は、海馬で過剰に放出された興奮性神経伝達物質のGluに由来することが明らかにされている。 平成15年度は、蛍光検出器付高速液体クロマトグラヒィー(HPLC)を購入し、これを用いて海馬のGluとGABA濃度を測定した。 その結果、GluおよびGABA濃度は、固形飼料群と粉末飼料群との間に有意な差は認められなかった。しかし、両者の生合成と代謝が抑制性あるいは興奮性の傾向を示す指標となるGABA/Gluは、固形飼料群に比して粉末飼料群において有意な増加が認められた。このことは、粉末飼料群においては、Glu濃度の上昇による海馬の神経細胞に対する毒性を軽減するために、GABAの生合成が克進したものと推測された。 以上の結果から、固形飼料から粉末飼料への変更によってストレス応答が引き起こされた結果、海馬のGluとGABAの代謝回転に影響を及ぼす可能性が示唆された。 平成16年度は、ラットの習性に反する粉末飼料飼育への変更がHPA系に及ばす影響を明らかにするために、その関連ホルモンであるACTHとCorticosteroneの測定を行う予定である。
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