2004 Fiscal Year Annual Research Report
中耳コンプライアンスを指標とした下顎位の客観的評価に関する研究
Project/Area Number |
15791144
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
神谷 和伸 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (30267108)
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Keywords | 下顎位 / 耳小骨筋反射 / 中耳コンプライアンス側差 |
Research Abstract |
著者らの教室では中耳機能を判断指標とした下顎整位を報告してきた。しかしそれらの報告は顎機能異常を対象とした検討であり,健常者における下顎整位の報告は見当たらない。 そこで今回は,健常有歯顎者を対象として,static compliance(以下,STC)側差の最小下顎位(以下,TCR)を求め,TCRと咬頭嵌合位(以下,CO)との下顎位の相違が中耳および内耳におよぼす影響を,音響性耳小骨筋反射(以下,SR)による脳幹を経由した遠心路における顔面神経の運動制御として検討した。 被検者:顎口腔に異常を認めず耳鼻咽喉科病歴のない健常有歯顎者を対象とした。測定の対象とした下顎位はCOとTCRの二つの下顎位である。すなわちimpedance meter MA-4000を用い左右耳のSTC側差が最小となる下顎位(TCR)を求めた。 中耳機能の測定:MA-4000を用いてTCR,COの下顎位にて測定した。 SRの測定:脳幹の反射弓を経由した遠心路の運動制御への影響は,middle ear analyzer GSI-33を用いて反射閾値および波形潜時L_1,L_2,L_3,L_4の値により評価した。 1.中耳機能側差 Tympanogram Impedance側差において,TCRとCOとの問で,危険率1%の有意差が認められた。PRS,EACには差は認められなかった。 2.SR波形潜時側差 SR波形潜時SR波形潜時L_1の側差において,TCRとCOとの問で,危険率1%の有意差が認められた。L_2,L_3,L_4に差は認められなかった。 以上のように,本研究によって健常者の微小な中心滑走がもたらす生体機能変化の機序の一端を明らかにすることができた。今後,咬合異常や顎関節機能障害との比較検討を行うことによって,咬合と聴覚系との機能的連繋を明らかにすることが可能と考えられた。
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