Research Abstract |
【概要】 線維結合コラーゲン(FACITs)は,コラーゲン線維配列の調整や架橋形成などを司るコラーゲンでありそのなかでもIX, XII, XIV型コラーゲンは軟骨に存在することが確認されている.本研究では,変形性顎関節症を自然発症するモデルマウスである老化促進モデルマウス(SAM)を用いて,変形した顎関節軟骨内でのIX, XII, XIV型コラーゲンタンパクの局在について検討した. 【材料と方法】 実験には,変形性顎関節症モデルマウスとして,30週齢SAMP8,およびコントロールマウスとしてSAMR1を用いた.顎関節頭を固定,脱灰し,パラフィン包埋したのち,切片を作製.免疫組織学的検討を行なった.顎関節頭を前方と後方に分けて,それぞれのコラーゲンタンパクの分布を比較検討した. 【結果と考察】 SAMR1において,すべてのコラーゲンタンパクは,顎関節後方の成熟層上部に分布する軟骨細胞周囲に分布していた.また,IX型コラーゲンは増殖層の細胞外基質にも存在していた.一方,SAMP8においては,コラーゲンタンパクは前方の細胞周囲に主に分布していた.また,XII型コラーゲンは,増殖層,成熟層上部ともに分布していたが,IX型コラーゲンは成熟層上部の細胞周囲に分布し,XIV型コラーゲは増殖層の細胞周囲に分布していた.これらのことから,IX, XII, XIV型コラーゲンは軟骨の肥大に対してそれぞれ異なった機能を有している可能性が推測された.これらFACITsの分布の違いが,軟骨の恒常性維持とどのようなかかわりを持つものか,今後リモデリングに関して,MMP, TIMPとの開運はどうか,若年ではどうなのか,検討していく予定である.
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