2004 Fiscal Year Annual Research Report
マルチカラーFISH法による口腔扁平上皮癌の悪性度評価の試み
Project/Area Number |
15791161
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鵜澤 成一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345285)
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Keywords | FISH / 口腔 / 扁平上皮癌 / 遺伝子 / ゲノム / cyclin D1 / p16 |
Research Abstract |
(1)FNA-FISH法を用い、Cyclin D1遺伝子増幅を解析することによって、頸部リンパ節転移を予測することが可能であるか検討した。臨床的にN0と診断され、一次治療として原発巣の外科的切除が施行された45例である。このうち後発リンパ節転移は17例(38%)に認められた。Cyclin D1遺伝子増幅は15例(33.3%)に認められ、そのうち後発頸部転移の認められた症例は12例(80%)であった。同方法における頸部転移予測の正診率は37/45例(82%)であった。また、同遺伝子増幅と癌の浸潤傾向やリンパ節転移の有無との間に関連性が認められた。これらの結果からcyclin D1遺伝子は細胞周期に関与するのみならず、浸潤や転移に深く関連性のある遺伝子であり、個々の癌の悪性度診断及び後発頸転移予測に有用なバイオマーカーの一つであると考えられた。以上の結果は、2004年頭頸部癌学会にて発表し、論文準備中である。 (2)口腔扁平上皮癌発癌過程におけるRb pathwayの異常の関与を検索するために、Cyclin D1遺伝子の増幅とp16遺伝子の欠失をdual color FISH法にて解析した。口腔扁平上皮癌一次症例61例解析した結果、32例(52.4%)にCyclin D1遺伝子の増幅が認められ、23例(37.7%)にp16遺伝子の欠失が認められた。41例(67.3%)においていずれか1つが認められ、Rb pathwayの異常の口腔癌発癌・進展過程への関与が示唆された。また、Cyclin D1遺伝子の増幅とp16遺伝子の欠失が同時に生じていた症例の予後は極めて不良であった。以上の内容は2004年アジア口腔外科学会総会にて発表し、論文準備中である。 (3)口腔扁平上皮癌発癌過程における、Cyclin D1遺伝子増幅の時期に関して検討した。同一口腔扁平上皮癌患者の原発巣およびリンパ節より細胞を採取し、dual color FISH法にて解析した。その結果、原発巣でCyclin D1遺伝子増幅が認められた症例は、リンパ節転移が生じていた場合、必ずリンパ節においても増幅が認められた。従って、Cyclin D1遺伝子増幅は少なくともリンパ節転移が生じる以前に、原発巣において起こっていることがわかった。以上の内容は口腔科学会雑誌に掲載された。
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Research Products
(2 results)