2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄幹細胞からの未分化間葉系幹細胞の分離および象牙質・歯の再生療法
Project/Area Number |
15791163
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 陽一 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (20345903)
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Keywords | 歯髄幹細胞 / 未分化間葉系幹細胞 / 再生医療 / 象牙質再生 / Microarray |
Research Abstract |
歯、歯周組織再生の細胞源として、親知らず、不要なった歯牙などから採取可能な歯嚢(歯胚)、歯髄組織に着目し、この中に含まれる歯嚢、歯髄幹細胞(DPSCs)の検討を行った。このDPSCsは象牙質、神経、脂肪などに分化する多様性が指摘されている。そこで、今回、同一患者から採取した口腔粘膜(h OMCs)、hDPSCs、hMSCsにおける分化誘導における違いを、形態学的、象牙質特異的遺伝子発現、遺伝子プロファイル、クラスタリング解析を行い、各種組織再生の可能性を検討した。形態学的には線維芽細胞様細胞の細胞形態を示しているが、分化誘導後には凝集能を示していた。次に、硬組織、象牙質特異的遺伝子発現を定量的RT-PCR法を用いて比較した。その結果、DPSCsはMSCsより象牙質特異的遺伝子(Dentin Sialophosphoprotein : DSPP、dentin matrix protein-1:DMP-1などの遺伝子発現が培養後期において高い値を示した。これは骨分化誘導培地による分化誘導後に得られた結果で、分化誘導を行わなかった場合にはこのような発現は観察されなかった。そこで、培養24日後におけるこれら細胞特性の違い、遺伝子導入による組織再生の可能性を12,814の遺伝子プロファイルとクラスタリング解析により検討した。 この結果、発現量がMSCsに比べ、分化誘導後のDPSCsが2倍以上あるいは0.5倍以下を示した遺伝子群には歯や硬組織の形成に関与するとされる遺伝子(MSX1,BMP2,4,PAX9,BGP)などが認められ、また、分化誘導後のDPSCsにおいて高発現を示したclusterではcell signaling, communication, metabolismに関する遺伝子群の発現が特徴的であった。このような結果から、遺伝子工学的に骨、象牙質、歯などをDPSCsおよびMSCsを応用して、再生する可能性が示唆された。今後はいろいろな細胞特性を応用して、効果的に組織再生を行えることを期待し研究を進めていきたい。
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Research Products
(16 results)