2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791171
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
日野 聡史 愛媛大学, 医学部附属病院, 助手 (90359927)
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Keywords | 口腔癌 / p27 / 分子標的治療 / ATP |
Research Abstract |
申請者は、ATP供給経路の律速酵素であるAmidophosphorybosyltransferase (ATase)の欠損細胞株とプリンヌクレオチドを含まない細胞培養用培地、細胞内ATP濃度を変化させる各種の薬剤を用いて、細胞内ATP濃度と細胞増殖の関係について検索した。ATase活性と細胞増殖能には正の相関があることを発見し、これは細胞周期のG1/S期移行に要する時間が短縮されるためであることがわかった。そこで、ATase活性と細胞周期のG1/S期に関わる分子群との関係を調べたところ、p27がATase活性、つまり細胞内ATP濃度に依存して分解されることが明らかになった。 p27の発現制御は主に蛋白レベルで行われており、細胞が増殖を停止するような条件下、つまリ接触阻害や血清飢餓によって強く発現が誘導される。ところが、接触阻害や血清飢餓のない状況下でも、ATaseの欠損によってp27発現が強く誘導されることがわかった。また、細胞周期のG1後期には各種の蛋白質の段階的な分解が必要であり、S期にはDNA、RNA、蛋白の新規合成が行われる。つまり、細胞周期G1/S移行期には大量のエネルギー(ATP)が必要であり、正常な細胞増殖サイクルには細胞分裂に必要な細胞内ATP量に不足がないかをチェックするセンサーが存在していると考えられ、p27がこのセンサーとして機能している可能性を明らかにした。p27のコドン187のスレオニン残基がリン酸化されるステップが、細胞内ATP濃度のセンシングを行っており、十分量のATPが存在するとp27がリン酸化され、ユビキチン-プロテアソームシステムによって分解されると考えられる。細胞内ATP濃度をコントロールし細胞周期のG1/S期移行をコントロールすることで、癌細胞の増殖を抑制できる可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Omotehara F: "Transcriptional activation of cyclin-dependent kinase inhibitor, p21 waf1 gene by treatment with a differentiation inducing agent, Vesnarinone in a human salivary gland cancer cell line."J Exp din Cancer Res. 22・1. 57-60 (2003)
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[Publications] Uchida D: "Posttranscriptional regulation of TSC-22 (TGF-beta-stimulated clone-22)gene by TGF-beta 1."Biochem Biophys Res Commun. 305・4. 846-854 (2003)
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[Publications] Kawamata H: "Vesnarinone : a differentiation-inducing anti-cancer drug."Anticancer Drugs. 14・6. 391-395 (2003)
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[Publications] Shintani S: "Up-regulation of DNA-dependent protein kinase correlates with radiation resistance in oral squamous cell carcinoma."Cancer Sci. 94・10. 894-900 (2003)
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[Publications] Shintani S: "Skp2 and Jab1 expression are associated with inverse expression of p27(KIP1) and poor prognosis in oral squamous cell carcinomas."Oncology. 65・4. 355-362 (2003)
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[Publications] 日野聡史: "アミドホスホリボシルトランスフェラーゼ"日本臨床. 61・1. 24-30 (2003)