2003 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌分子を発現する遊離植皮を用いた口腔癌局所再発・転移予防法についての研究
Project/Area Number |
15791174
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蔵原 慎一 九州大学, 歯学研究院, 助手 (20304818)
|
Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 角化細胞 / 癌浸潤 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
口腔扁平皮癌の浸潤や増殖を抑制することが期待されるタンパク質分子としてインターロイキン-4(IL-4)、TGF-β、TIMP-1、TIMP-2に着目し、その遺伝子発現ベクターを作製し、皮膚の細胞への導入発現を行った。 (1)IL-4、TGF-β、TIMP-1、TIMP-2のcDNAから各々の遺伝子発現ベクタープラスミドを作製した。これらのベクターをin vitroで、培養角化細胞や培養角化細胞株(HaCaT)に導入発現させることを試みた。導入をウエスタンブロット法と免疫染色法で調べると、IL-4とTIMP-1では細胞内での発現上昇を確認できたが、TGF-βとTIMP-2では確認できなかった。 (2)次に、IL-4とTIMP-1の遺伝子にGFP(緑色蛍光タンパク)の遺伝子をカップルさせ、GFP-IL4とGFP-TIMP-1の遺伝子発現ベクターを作製し、培養角化細胞やHaCaT細胞に導入してGFPの発光を蛍光顕微鏡で観察した。その結果、GFP-IL-4では60%、GFP-TIMP-1では80%程の導入効率が得られた。 (3)GFP-IL-4とGFP-TIMP-1を導入した角化細胞とHaCaT細胞の増殖曲線や上皮分化マーカー(サイトケラチン、インボルクリン)の発現を調べた。その結果、遺伝子導入は分化マーカーの発現には影響しないが、IL-4は増殖を30%程抑制した。 (4)臨床材料から得られた皮膚片を器官培養し、皮膚細胞へのGFP-ILI4とGFP-TIMP-1の遺伝子導入を試みた。しかし、導入後、蛍光を発する部位は全体の1割以下と低かった。 現在培養皮膚への導入効率を高める方法を検討中であるが、皮膚角化細胞への導入は良好で、次年度での目標達成を期待できると思われる。
|