2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌分子を発現する遊離植皮を用いた口腔癌局所再発・転移予防法についての研究
Project/Area Number |
15791174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蔵原 慎一 九州大学, 歯学研究院, 助手 (20304818)
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Keywords | 口腔扁平上皮 / 角化細胞 / 癌浸潤 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究は舌癌の切除後に、種々の抗腫瘍遺伝子を生体外で予め導入した遊離分層皮膚を移植することによって、舌癌の再発・転移を予防しようとする試みである。皮膚片の外来遺伝子導入効率が1割以下と低かったが、2年目の本年度は遺伝子導入法の条件の至適化を行いつつ、in vivoの実験にも着手した。 1.初年度に引き続き、IL-4,TIMP-1の遺伝子発現コンストラクトを作製し、ヌードマウスの背中から採取した皮膚片にIL-4,TIMP-1の遺伝子導入を試みた。ウエスタンブロット法、免疫組織染色法にて細胞内にIL-4,TIMP-1の発現が確認できたが、約20%程度の導入効率であった。 2.次に、ヌードマウスの背中に口腔扁平上皮癌細胞株(SAS,HSC-2)を注射器にて1,0×10^5個の細胞を局注し、腫瘍形成能をみたところ、約9割以上のマウスで癌細胞を移植した部位に腫瘍塊を形成した。 3.ヌードマウスの背中に形成した腫瘍を、切除断端に一部癌細胞が残存するように切除した。 切除部にIL-4,TIMP-1を遺伝子導入した皮膚片を遊離移植した後、20日後に屠殺し、腫瘍制御効果および植皮片のIL-4,TIMP-1の発現に関し免疫組織学的に検討した。なお、コントロールとして腫瘍切除部の植皮には遺伝子導入されていない皮膚片を用いた。 植皮が生着した個体について、腫瘍の増大を肉眼および光学顕微鏡で確認したが、コントロールとの差はなかった。一方、植皮片細胞中のIL-4,TIMP-1の発現を免疫組織学的に検討したが、軽度の発現しかみられなかった。 今後はIL-4,TIMP-1遺伝子の移植皮膚への導入効率の向上と、導入後のIL-4,TIMP-1の持続的な発現を維持することによって、良好な結果が期待できるものと思われる。
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