2004 Fiscal Year Annual Research Report
妊娠期からのキシリトール摂取が齲蝕原生菌の母子伝播および齲蝕発症に及ぼす影響
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15791208
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
仲井 雪絵 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70284073)
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Keywords | 齲蝕原性細菌 / 母子伝播 / キシリトール / 齲蝕活性試験 / 齲蝕 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多くの臨床研究によって齲蝕予防効果が支持されているキシリトールを妊婦に対して導入し、primary-primary preventionとしての有効性を検討することである。前年度に引き続き出産後も母子のデータを追跡収集した。現時点におけるデータ分析では、キシリトール配合チューイングガムの咀嚼による母親自身の唾液中MS数の変化について報告できるレベルに到達した。某産婦人科(岡山市)を受診した妊娠3-5カ月目の妊婦320人の舌表面から得られた唾液サンプルを対象に齲蝕活性試験(Dentocult SM^<【○!R】>)を実施した。その結果がハイリスク(スコア≧2)だった者を以後の介入プログラムの対象者として抽出し、キシリトール(Xyl)群と対照群の2群に無作為割付を行った。Xyl群には平均年齢30.6(SD=4.2,23-40)歳の妊婦54名、対照群には平均年齢29.7(SD=3.8,19-38)歳の妊婦42名が対象となった(対象人数は増加中である)。妊娠6カ月目から出産後9カ月までの13カ月間3カ月ごとに、個別指導として口腔衛生指導、ブラッシング指導、口腔内検診を両群の母親に対して共通に実施した。Xyl群には、甘味料として100%キシリトールを含有するキシリトール配合ガムを与え、一日4回以上毎日摂取するよう指示した。また、実際の摂取回数、腹部の調子(下痢など)、顎関節疼痛の有無についてキシリトールダイヤリーに毎日記録した。両群とも3カ月ごとにDentocult SM^<【○!R】>を用いて母親のMS数を測定し、2群間でその変化を追跡・比較した。さらに、キシリトール摂取によって生ずる可能性のある下痢や顎関節疼痛の発現頻度について分析した。介入3カ月後の対照群では7人に1人、Xyl群では2人に1人がローリスク(SM≦1)であった。キシリトールを摂取した方がローリスクに転じやすいため、primary-primary preventionとしての有効性が示唆された。6・9カ月時の分析と子の口腔内への影響は次年度に明確にする予定である。
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