2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯根吸収後のセメント質修復過程における基質タンパク質および成長因子の役割
Project/Area Number |
15791218
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
橋本 文生 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10325665)
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Keywords | セメント質 / matrix gla protein / osteocalcin / osteopontin |
Research Abstract |
歯周疾患や矯正治療後を含む歯の機能的役割を維持するためには,歯周組織,特にセメント質の修復および再生は非常に重要である.本研究は,歯根吸収後どのような過程でセメント質が修復されるかを組織学的および細胞生物学的に明らかにすることを目的としている. 昨年度(平成15年度)までに,織学的にラットの上顎第1臼歯に生理的および矯正学的歯根吸収が惹起し,その修復セメント質において,matrix gla protein (MGP), osteopontin (OPN)の免疫局在が認められ,その周囲の細胞にMGPおよびosteocalcin (OC)のmRNAの発現を認めた. そこで平成16年度は,上記の修復細胞の増殖・分化過程を検討するため,proliferating cell nuclear antigen (PCNA),およびvascular endothelial growth factor (VEGF)の免疫局在の変化を検討した. Wistarラットの上顎第1臼歯を近心移動後,24時間後より,歯槽骨表面および歯根表面の細胞のPCNA陽性反応が増加した.その増殖活性はコントロールと比較し有意に増加していた.同様に,歯の移動開始後より牽引側でのVEGFの免疫陽性反応が増加した. 以上の結果は,骨芽細胞の増殖・分化と同様セメント芽細胞の増殖・分化過程にVEGFを含めた成長因子が関与することを示唆している. また,現在マウスの歯を抜歯し歯根膜を採取し,in vitroの系での歯根膜線維芽細胞の分画を行い,様々な成長因子を添加し,その増殖・分化能を検討している.
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