2004 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞の分化・活性化における細胞内シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
15791219
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金岡 和博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60346913)
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Keywords | 破骨細胞 / シグナル / 糖鎖 |
Research Abstract |
【目的】破骨細胞の生存及び活性化にスフィンゴ糖脂質がどのような役割を担っているかを解析するために、スフィンゴ糖脂質生合成阻害剤(D-PDMP)および各種のスフィンゴ糖脂質を用いて、破骨細胞に対する作用を検討し、細胞内シグナルの動態変化について解析を試みた。【方法】マウスの骨髄細胞に、RANKL、M-CSFを加え、破骨細胞様細胞(OCLs)を得た。得られたOCLsに、D-PDMPおよび、各種のスフィンゴ糖脂質を加えて培養を行い、破骨細胞の生存数を計測し、この時のカスパーゼ活性を、Ac-DEVD-MCAの水解活性で測定した。また、dentin slice上でpit assayを行い、骨吸収活性に対する影響を検討した。さらに、ウェスタンフロッテング解析を行い、細胞外からの刺激に対してのErk、IkB、Aktのリン酸化の増減及び時間的変化について検討した。【結果および考察】D-PDMPを破骨細胞に作用させたとき、濃度・時間依存的にアポトーシスを誘導した。この時、カスパーゼ活性の上昇が観察された。pit assayにおいて骨吸収が抑制されていた。ウェスタンブロッティング解析の結果、RANKL刺激によるIkB、Erk、Aktのリン酸化、M-CSF刺激による、ERKのリン酸化は抑制されていた。LacCer, GM3を添加することでアポトーシスの誘導は減少し、吸収活性は回復した。さらにIkB、Erk、Akt、のリン酸化レベルの抑制も回復した。以上のことより、破骨細胞の生存及び活性化にスフィンゴ糖脂質は必要不可欠な分子であると考えられた。D-PDMPにより誘導されるアポトーシスは、カスパーゼ依存性であり、細胞外からのRANKL及びM-CSFなどの生存のシグナルが細胞内に伝達されることが抑制された為だと考えられた。活性化の抑制も同様に細胞外からのシグナルの抑制によるものだと考えられた。
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