2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15791227
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
清水 武彦 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (40328761)
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Keywords | ELマウス / 先天欠如歯 / 第三臼歯 |
Research Abstract |
これまでに第三臼歯の先天欠如を100%有する近交系マウスEL/Sea(EL)と野生型マウスMSM/Ms(MSM)の遺伝的交配によりF1、F2マウスを作製し、遺伝様式が常染色体劣性遺伝性であること、また連鎖解析により第三臼歯欠損の遺伝要因をマウス染色体3番のD3Mit106からD3Mit260までの約18cMの領域に位置付けたことを報告してきた。本研究ではELおよびMSMを用い、MSMをドナーとし、MSMの染色体3番のD3Mit106からD3Mit260までの領域を、レシピエントであるELに導入するコンジェニックマウスを、スピードコンジェニック法を用いて作製した。ELの雌にMSMの雄を交雑し、F1をとり、そのF1の雄を用いてELの雌に戻し交配をし、そのN2の雄を10頭得た。これらのN2を生かしたまま、尾からDNAを調整し、PCR-SSLPマーカーを用いた遺伝子型タイピングにより目的とする染色体3番の領域をヘテロ型にもった個体を選別した。さらに19対の常染色体について、遺伝子型タイピングを行い、ELのアレルが各染色体にどの程度伝達されたかを判定した。すなわち、PCR-SSLPマーカーを各染色体に約30cM間隔で配置し、全染色体で58個用いて遺伝子型タイピングを行い、ELのアレルを最も多くもつN2雄個体を選別した.このN2個体を用いて再びELの雌に戻し交配をし、得られたN3世代に対し、上記操作を6回繰り返し、N7世代を得た。スピードコンジェニック法を用いたことにより、N7世代では染色体3番の目的以外の領域は99.9%以上ELホモ型となった。すなわち、目的領域以外においてMSM由来の遺伝子の影響は排除された。N7世代マウスを8週齢で安楽死させ上下顎骨を採取し、観察標本を作製した。実体顕微鏡下で第三臼歯の有無を評価し、染色体3番の目的領域がヘテロ型では第三臼歯が存在し、ELホモ型では歯が欠如したという結果を得、D3Mit106からD3Mit260までの領域に原因遺伝子が存在することを証明した。
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