2003 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性改善薬が歯周炎の発症と進行に及ぼす影響に関する研究-PPAR-γの活性化に伴う炎症反応の制御からの検討-
Project/Area Number |
15791238
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
成石 比左 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40346458)
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Keywords | インスリン抵抗性改善薬 / チアゾリジン誘導体 / CRP / 冠状動脈性心疾患 / 歯周炎 / interleukin-6 / lipopolysaccharide / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
歯周炎は全身にとってsub-clinical rangeの慢性炎症として捉えられつつある。歯周病患者ではc-反応性蛋白(CRP)値が上昇しており、治療に伴って低下する。CRPはinterleukin-6 (IL-6)刺激によって肝細胞から産生される急性炎症マーカーである。肥満患者ではCRP値が上昇しやすい。これは肥満患者に蓄積した脂肪細胞がIL-6の主な産生細胞であるためと考えられている。近年、CRPは単なる炎症マーカーであるのみでなく、冠状動脈性心疾患の進行に直接的に関与することが報告されている。すなわち、CRPはLDL-コレステロールに結合することによって単球によるコレステロールの貧食を促進することが示された。すなわち、歯周炎によって上昇するCRPは直接的に既存の血管病変を進行させる可能性が考えられる。 そこで、歯周感染がCRPを上昇させる背景に脂肪細胞が関与するとの仮説を設けた。歯周病菌(Porphyromonas gingivalis, Fusobacterium nucleatum)、およびE.coli由来lipopolysaccharide (LPS)によるマウス3T3-L1脂肪細胞からのIL-6産生性を検討した。その結果いずれのLPSも3T3-L1細胞からのIL-6産生性を亢進した。インスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン誘導体(pioglitazone)はP.gingivalisおよびF.nucleatum由来LPSによって惹起されるIL-6産生性の亢進を完全に抑制した。しかしながら、E.coli LPSによる亢進抑制は部分的なものであった。 このことからインスリン抵抗性を示す肥満患者に対するインスリン抵抗性を標的とした改善薬は、歯周病菌由来抗原によって惹起される炎症反応を抑制し得ること、従って歯周炎を合併した肥満糖尿病患者にも適応できる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)