2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳由来神経栄養因子(BDNF)を用いた細胞機能制御による歯周組織再生療法の開発
Project/Area Number |
15791239
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
林 秀昭 広島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60346509)
|
Keywords | BDNF / periodontal ligament cells / bone-related protein / regeneration / periodontal defect / alelocollagen |
Research Abstract |
神経栄養因子の1つであるbrain-derived neurotrophic factor(BDNF)の歯周組織再生における役割を明らかにするために、これまでBDNFが培養ヒト歯周靭帯由来線維芽細胞(HPL細胞)の増殖を促進するとともに、Alkaline phosphatase(ALPase)、Bone-morphogenetic protein(BMP)-2およびOsteopontin(OPN)などの骨関連タンパク質発現およびI型コラーゲンの産生を促進することを明らかにした。本研究はBDNFを利用した歯周組織再生療法の開発を目的として、in vivoにおけるBDNFの歯周組織再生誘導を明らかにすることを計画した。7頭の雌ビーグル犬(12〜20ヵ月齢、体重10〜14kg)を用いた。臨床的に健康な歯周組織の状態を確立した後、根分岐部3級の骨欠損を作成し、滅菌生理食塩液にて希釈したBDNF(5、25および50μg/ml)をテルプラグ(テルモ)にしみ込ませたものを移植した。手術後6週間経過観察したビーグル犬の根分岐部組織標本を作成し、ヘマトキシリン・エオジン染色後光学顕微鏡下にて組織観察を行い、セメント質再生率、再生歯槽骨再生率を計測した。BDNFを投与した根分岐部骨欠損の標本では、裸出させた歯根面のほとんどの部分でセメント質が再生しており、上皮の進入は見られなかった。また、再生セメント質と再生歯槽骨の間には一定の幅を維持した歯周靭帯も観察された。それに対し、BDNF非投与群(テルプラグのみ)の標本においては、セメント質、歯槽骨、歯周靭帯の再生がいくらか観察されたものの、根分岐部直下の欠損部には上皮が進入し、セメント質再生、歯槽骨再生は認められず、線維芽細胞、コラーゲン線維、血管を主体とした結合組織で埋めつくされていた。
|
Research Products
(1 results)