2003 Fiscal Year Annual Research Report
ニトロソ化内因性プロテアーゼインヒビターによる歯周病原菌の活性阻害
Project/Area Number |
15791250
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
小倉 理恵子 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (80320331)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / Arg-gingipain(Rgp) / α2-plasmin inhibitor(α2PI) / S-NO-α2-plasmin inhibitor(S-NO-α2PI) / S-ニトロソ化 |
Research Abstract |
α2-plasmin inhibitor(α2PI)はヒト血漿中に約69μg/ml(約1μM)存在するセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)で、分子内に4個の遊離SH基を持つ。生体内ではプラスミンに対する高い親和性を持つため速やかにプラスミン活性を中和し、またフィブリン溶解(線溶)の特異的なインヒビターとして働いている。赤池らはα1-antitrypsin(α1AT)のSH基はNOによって効率良くS-ニトロソ化(S-NO-α1AT)され、プロテアーゼ阻害スペクトルがセルピン活性を保持したままシステインプロテアーゼまで拡大したことを見い出した。そこでα2PIをS-ニトロソ化してS-NO-α2PIを作製し、これがP.gingivalisのプロテアーゼや様々なシステインプロテアーゼに対して有効な内因性プロテアーゼインヒビターとして機能するか検討した。 P. gingivalis ATCC33277株の培養上清より、イオン交換カラムを用いてシステインプロテアーゼ様活性画分(Arg-gingipain : Rgp)を精製した。 α2PIをDTTで還元した後イソペンチルナトライトを用いてS-ニトロソ化し、HPLC-フローリアクター法でS-NO-α2PIを定量した。 Rgp、カテプシンB、パパイン、およびプラスミンに対するS-NO-α2PIのプロテアーゼ阻害活性をそれぞれの特異的合成基質を用いて評価した。 α2PIの血漿中濃度において、α2PIおよびS-NO-α2PIはRgpの活性を約17%および約12%に下げた。またプラスミンの存在下においてプラスミンの活性は完全に阻害しながらも、Rgpの阻害活性は同等の結果を示した。一方、カテプシンB、パパインに対してα2PIおよびS-NO-α2PIは阻害活性を示さなかった。今後継続で、他の歯周病原菌の様々なプロテアーゼに対する阻害活性を検討する予定である。
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