2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢期の咬合状態の悪化が運動機能の低下を引き起こす
Project/Area Number |
15791252
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山賀 孝之 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (90345512)
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Keywords | 高齢者 / 運動機能 / 体力 / 咬合状態 / Eichner / コホート |
Research Abstract |
本年度は,ベースラインから6年後の調査を行い,76歳の対象者の運動機能および咬合状態の6年間の変化および関連性について分析を行った。 調査参加者は406名で,ベースラインに対して67.7%の参加率であった。まず,両年度ともに調査に参加した対象者について各体力測定項目について比較した。握力は30.6±8.0kgで,ベースライン時の32.6±8.8kgと比較して有意な低下が見られた。同様に脚伸展パワー(690.4±271.4W vs.645.3±281.0W)および開眼片足立ち時間(31.8% vs.17.3%,120秒以上のものの割合)も有意な低下が見られた。しかし,脚伸展力は低下傾向が見られたものの,有意な変化は認められず,ステッピングは有意に増加した。 つぎに,咬合状態の指標としたEichnerの分類についてベースライン時のクラスが,本年度ベースライン時より下位のクラスになっていたものを咬合状態が悪化したものと定義し,両年度について比較したところ有意に悪化し,悪化したものは50名(12.1%)であった。 そこで体力測定項目のうち有意な悪化が見られた握力,脚伸展パワーおよび開眼片足立ち時間と咬合状態の悪化についての関連性を検討したが,有意な相関関係は認められなかった。 参加率の低下などにより生じたバイアスを考慮しても,各体力測定値の低下および咬合状態の悪化の程度は低く,ベースライン時に参考値として同一条件で測定した80歳(n=163)の値と比較して依然高い。したがって,対象者が満77歳を迎える次年度以降,これらが急激に低下あるいは悪化することが予想される。また,調査に参加しなかった対象者の追跡調査も行っており,死亡者の人数(35名)や不参加の理由(病気,痴呆,転居など)も把握している。それらのデータも含め来年度は,より多岐に渡る調査・分析を行う予定である。
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