2003 Fiscal Year Annual Research Report
AHPを用いた臨床ナースの倫理的意思決定プロセスに関する研究
Project/Area Number |
15791265
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
木山 幹恵 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20345820)
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Keywords | 臨床ナース / 倫理 / AHP / 意思決定プロセス |
Research Abstract |
本研究は臨床ナースが業務上遭遇する倫理的な問題とその対処行動における意思決定プロセスの解明を目的としている。平成15年度においては、関連の研究として臨床ナース140名を対象に看護倫理問題を含むアンケート調査を実施し、日本健康科学学会第19回学術大会において結果を発表した(10月)。この調査結果と看護倫理に関する文献レビューをもとに、意思決定プロセスのアウトラインを構築するため、臨床ナース5名を対象に聞き取り調査を行った(11月)。この結果、臨床ナースが倫理的な問題場面に対処する行動には、予測した以上にそれまでの経験やヒューリスティックな要因の比重が大きいことが分かった。そこで、AHP法を用いた調査を行う前に、グラウンデットセオリー法を用いた質的研究方怯を実施した。この調査では『A model of factor influencing the decision-making process』を参考にしたインタビューガイドに則って、卒後3〜8年目のナース12名にインタビュー調査を行った(10月〜翌2月)。これにより、臨床ナースの倫理的意思決定プロセスの基本パターンといくつかの興味深い意思決定要因の特徴が明らかになった。ここで注目すべき点として「ナースは不可解な患者(了解不能な患者)に対応する場面では、その患者の理解が得られないことに苛立ち、専門職としての役割遂行よりもむしろ個人的な感情を優先させ、その患者に対するケアを断念している」といったケースが多く存在することがある。つまり、ナースが倫理的な意界決定を行う際には、専門職としてとるべき行動は理解しているものの、自律性が不充分であるためにジレンマに陥り、結果として自分のケアに不全感を抱いていると考える。平成15年度の研究において、臨床ナースの重要な倫理的問題を抽出できたと考える。この研究成果は2nd Asia Pacific Nursing Congressにおいて発表する予定である(11月)。
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