2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工関節置換術を受ける患者の手術前後を通じてのQOLに関する縦断的研究
Project/Area Number |
15791308
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤田 君支 佐賀大学, 医学部, 助教授 (80315209)
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Keywords | THA / QOL / 変形性股関節症 / WOMAC / AIMS2 / OA |
Research Abstract |
【目的】これまでに人工関節置換術(以下THA)後患者を対象に生活体験やQOLに関する研究を行ってきた結果、術後患者の満足度は高い傾向にあったが、後ろ向き研究による限界があった。本研究では、THA患者のQOLについて、手術前後を通した変化を明らかにすることを目的とする。【方法】佐賀大学附属病院にTHA予定で入院した患者を対象に調査依頼を行い、同意を得られた方に自記式質問紙調査を実施した。調査時期は、術前、退院後1ヶ月及び術後6ヶ月で、全ての調査票を回収できた85名を分析対象とした。QOLについては身体的側面をThe Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index (以下WOMAC)日本語版を用いて測定した。心理面は気分と不安に関する項目、社会性は社会活動への満足度について尋ねた。なお、本研究の実施においては、研究者所属施設の倫理委員会で承認を得た。【結果及び考察】分析対象者は変形性股関節症が76名と最も多く、治療は片側THAが65名、両側THAが16名、再置換術が4名だった。女性が75名、平均年齢は60.4歳だった。WOMACは、下位項目のPain、Stiffness、Physical functionの全てにおいて、術前に比べ術後が改善し、退院後1ヶ月より術後6ヶ月の方がよい傾向にあった。心理面においても同様であり、特に術前に比べ術後の気分の改善が著明だった。脱臼への不安は退院後1ヶ月より術後6ヶ月の方がやや少なくなったが、全体の7割以上が持っていた。人工関節への心理的違和感は40%以上の人が持ち、時間が経過してもあまり変化がなかった。社会性については、術後期間が経つほど満足している傾向にあった。全体的にQOLは術前に比べ術後の方がよい傾向にあったが、身体面での改善に比べ、心理面での支援が必要と思われた。
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Research Products
(5 results)