2004 Fiscal Year Annual Research Report
集中治療室での終末期における看護師の意思決定プロセスと看護行為の関連
Project/Area Number |
15791310
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
木下 里美 (高野 里美) 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (60315702)
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Keywords | 集中治療室 / ICU看護師 / 死 / 終末期ケア |
Research Abstract |
1.集中治療室(以下ICU)熟練看護師の終末期での状況判断や看護ケアに関する面接調査の実施 1都2県の病院において、重症集中ケア認定看護師または、同等のICU熟練看護師15名に、面接調査を実施した。調査内容は、ICUで死の転機を迎える患者とその家族に対する臨床判断とケア実践に関する質問内容である。 面接調査の結果、ICUにおける患者の死の予測に関しては、看護師は、様々な身体状況の変化から行っており、それらは、必ずしも医師の判断と合致するものではないことが示唆された。また、患者や家族への終末期ケアの戦略に関しては、「ケアの質は、終末期であろうとなからようと変わらない」とはするものの、次のような、患者の終末期を意識したケアを実践していた。患者に対しては、苦痛を伴う処置を減らすことや、外観を整える援助を重視していた。具体的には、不必要なバイタルサインの測定や採血を控える、損傷や浮腫などによる外観の変化に対し、それを軽減させるケアなどが挙げられた。それ以外にも、看護師は患者の「その人らしさ」を考え、患者にとってどのような看護をすればよいかを、家族などから情報を得つつ、実践していた。家族のケアに関しては、家族に患者ケアの参加を勧めることで、患者と家族の関わりがもてるように援助することや、家族が患者の死の受容ができるような時間や環境の配慮を行うことなどが挙げられた。 2.自記式質問紙調査用紙の作成 ICU看護師への面接調査および質問紙調査の結果を基に、「ICUでの終末期ケア困難感スケール」と、「ICUでの終末期における看護師の対処方略スケール」の作成を行った。調査内容は、看護研究者2名にスーパーバイズを受け修正中である。この調査票は、ICU看護師の終末期での対処方略を明らかにするために使用予定である。 3.ICUにおいて死を迎える患者の意思に関する調査結果 ICUにおいて死を迎える患者の意思を尊重することが困難な理由を、ICU看護師845名の自由記述を内容分析した。その結果、「患者の意思がわからない」「他者の決定権」「終末期ケアには適さないICUの機能」「ICUの終末期の特徴」の4つの主カテゴリーと、12のサブカテゴリーが抽出された。ICU看護師の多くは、ICUで死を迎える患者の意思に沿うことに困難を感じているが、その理由は、意識レベルの低下による意思疎通困難によるものだけでなく、他者により決定された内容への疑問や、ICUでの環境や終末期の状況から、患者はこのような場所や状況での死を望んでいないだろといった思いが挙げられた。
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