2003 Fiscal Year Annual Research Report
長期入院患者のQuality Of Lifeの向上を目的とした動物介在看護
Project/Area Number |
15791316
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
熊坂 隆行 静岡県立大学, 看護学部, 助手 (80347385)
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Keywords | 長期入院患者 / QOLの向上 / 動物型ロボット、動物型福祉玩具 / 動物 / 生活環境 / 不安・ストレスの緩和 / 看護活動 / 動物介在看護 |
Research Abstract |
私は「動物と触れ合いのなかで生まれてくる効果を看護活動の中で活用し、その対象者がその人らしさを表出し、これからの人生を全うできるように看護(援助)していくこと」を動物介在看護と呼び、この患者サポートを確立することを目的とし、調査・研究を行っている。 平成15年度は、静岡県にあるA医院患者17名と愛知県にある介護老人保健施設B利用者10名に(1)家庭における日常生活の過ごし方に関する質問紙調査、(2)動物に常在する人畜共通感染症や咬傷などを考慮し、これらの問題を克服できる動物型ロボット、動物型福祉玩具を介在し、本来の動物介在の一指標とすべく、患者・施設利用者に及ぼす影響を検証した。 今回、家庭において動物を飼育している対象者が多く、動物が好きだが入院等による環境の変化や疾病の事情により、飼育動物と現在一緒に生活ができない状況にある方が多かった。そこで、動物に常在する人畜共通感染症や咬傷などを考慮し、ロボットや福祉玩具を介在し、C.D.Lorish and R.Maisiak(1986)らのフェイス・スケールを活用し評価した。患者・利用者の評価は、ロボットや福祉玩具「介在前」より「介在後」に「快」値を示したことから、患者や利用者のストレスの緩和や不安の軽減に少なからずとも影響したと考えられた。このことから、病院に入院中であっても動物と一緒に暮らしたいという患者においては、動物介在をすることによって、入院中の患者のQOLの向上につながり、また、意欲の向上などにつながると考えられる。今回、病院の事情、動物に常在する人畜共通感染症や咬傷などを考慮し、ロボットや福祉玩具を用いたわけだが、この結果と入院中でも動物と暮らしたいという質問紙調査の結果などから動物介在を用いた看護活動は有効であると考えられ、平成16、17年度は本来の動物を用いた患者のQOLの向上を目的とした看護活動のあり方を検証していく予定である。現在、倫理委員会に提出する書類を作成中である。
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