Research Abstract |
昨年度の文献検討をもとに,面接調査の準備を整え,今年度は総合病院免疫血液内科の協力を受けて,全身性エリテマトーデス(以下SLE)女性に対し,本研究への協力を依頼した.そして,本研究への参加に仮の承諾を得られたSLE女性の配偶者への面接の依頼を行った.その後,配偶者に対し,別途,改めて本研究の説明を行い,承諾を得られた後に面接を実施した. その結果,SLE女性の配偶者は,自分の妻が突然発症したことに対して同じように驚き,動揺した経験をもっていた.女性自身もそうであるが,配偶者自身もこの病気に関する知識はもっておらず,混乱する時期を経験していた.その後,病気の状態が薬物療法の開始に伴い,女性自身が病気のことを忘れるぐらいの身体状態に改善するにつれ,配偶者自身も落ち着きを取り戻すような傾向が見られた.しかし,何十年という時間が経過していても,この病気の不確かさは女性だけでなく,配偶者自身も感じていることがわかった.そして,できることなら現在のような身体状態のまま,この先も過ごしていけたらいいという希望をもっていることが明らかになった. 病気をもちながらの生活について,この病気のことを配偶者以外の人に知らせたりすることについては,あえて自分たちから病気の詳細を知らせたりすることはないとのことであった.これまであまり聞いたこともない病気について他者に知らせることは,女性だけでなく配偶者も進んで行ってはいなかった.仕事の上司など,知らせておく必要のある場合にのみ,妻の病気について知らせていることが多かった. 今回,面接を行った方々は,結婚後に発病した方ばかりであったが,結婚前に発病していたら,結婚したかどうかはわからないといったケースもあり,病気が夫婦・恋人といったパートナー間への影響が伺われた.そして,そのことは,病気による配偶者の人生への影響をわずかではあるが,示唆された. 今年度,面接調査を実施してきたが,参加協力者を得ることが困難な状況であった.その理由としては,配偶者自身に直接研究の説明を行う機会が得られないこと,SLE女性を通して研究参加をお願いしていること,配偶者自身の仕事の都合があることなどがあげられる.よって,来年度に向けての課題として,面接調査での結果をもとに,質問紙を作成し,SLE女性の通院患者数が多いと考えられる病院に対し,調査協力を依頼したい.そして,SLE女性の配偶者の妻の発病・病気の経過・将来などへの想い,配偶者自身の人生にとっての意味などについて尋ねることで,SLE女性の配偶者の体験の実態について明らかにするようにしたい.
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