2004 Fiscal Year Annual Research Report
職場における精神的健康維持・増進のための健康教育とその効果に関する研究
Project/Area Number |
15791349
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University of Health Sciences |
Principal Investigator |
新納 美美 東京都立保健科学大学, 保健科学部, 助手 (60323359)
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Keywords | メンタルヘルス / コミュニケーション / ヘルスプロモーション / 小集団教育 / 職場 |
Research Abstract |
(1)介入の実施とプログラムの見直し (1)介入の実施:平成16年4月から平成17年3月末までの期間に、1社の4部門の社員を対象に、ポジティブコミュニケーション(以下PC)を触発するための小集団研修を20回開催した。今年度の参加者は210人、さらに平成15年度11月の初回実施からの累計は260人で、部門別の全社員に占める既受講者の割合は20.2〜37.3%である。 (2)プログラムの見直し:平成16年6月で管理職者層への介入がほぼ終了したのに伴い、フィールドの保健師と協働で受講者の意見(受講直後に実施した無記名自記式アンケートによる、有効回答数173、有効回答率82.4%)からプログラム評価を実施した。PC対する理解が出来た者と回答した者は96.5%、演習に参加した結果PCが働きやすい職場づくりに効果があると感じたと回答した者は94.8%、実践できる力があることに気づけたと回答した者は92.0%、職場での実践イメージが出来たと回答した者は86.7%であった。 (2)フォローアップ研修の見直し フォローアップ研修を職務時間外の自由参加で企画したが、参加者は1名(管理職者)のみにとどまった。参加者とスタッフとで話し合った結果、潜在的なメンタルヘルス不全社員が相当数存在すると思われ職場のニーズは高いとの示唆が得られた。今年度はフォローアップ研修の実施を見合わせ、計画を再検討中である。 (3)介入開始1年後調査の実施 平成17年1月11日から2週間の留置法で調査(自記式無記名の質問紙調査)を実施した。研修対象部署外の職員を含む2294人に配布し、1437の回答があった(回答率63%)。回答者の平均年齢は43.9(±9.7)歳、内訳は、男性89%女性10%、管理職者16%主任係長級50%一般職32%であった。昨年度調査も今年度調査も回答した者は327人で、これは、研修実施対象部署の全社員の36%にあたる。部署ごと、研修受講状況ごとの層別にスコアの経年変化を検討したところ全体的に低下傾向が認められた。研修未受講者では職場活性度およびPC体験スコアで有意に低下しており、受講者では有意差は認められなかった(paired-T test, p<.05)。また、受講後意識や行動にどのような変化が認められたか、自由記載で回答を求めたところ「他者と対話し意思疎通を図ろうとするようになった」「相手に受け容れられやすい対応をするようになった」「相手の状態を察し理解するようになった」などの意見が多数認められる一方で、「意識に影響はあってもいざとなると行動がとれない」という意見も相当数存在していた。
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