Research Abstract |
本研究の概要:本研究は、老人保健施設から病院へ退所する要介護高齢者が増加していることが,看護ケアの質的な内容と関係しているかどうかという視点で,老人保健施設から退所した人の退所先と退所理由,その人への看護過程の調査を実施し,それらを確認していくことが目的である。研究者が独自に調査を実施し,そのデータを分析対象とする。調査は二部構成となっており,調査(1)として,老人保健施設を退所した要介護高齢者の退所先とその理由,展開されていた看護過程などについて調査する。調査(2)は,退所した要介護高齢者を対象に訪問調査を実施し,事例分析とする。これら2つの調査データを分析対象として研究目的を達成するものである。 今年度の実績:初年度(今年度)の研究スケジュールに沿って,調査(1)「介護老人保健施設からの退所先と退所理由に関連する看護過程の調査」を実施した。研究の進捗状況は,今年度予定の調査を実施し,データ入力を終えた段階で,次年度から詳細なデータ分析を始める予定である。 今年度実施した調査の概要:調査対象:東京都23区内の介護老人保健施設1箇所および,愛知県内の介護老人保健施設1箇所,対象:平成12年度4月1日以降に老人保健施設を退所した人400名(うちデータ入力が完了しているのは,324名),調査時期:平成16年1月から3月 調査内容:基本属性,家族状況,要介護度,障害老人の日常生活自立度,痴呆性老人の日常生活自立度判定基準,機能訓練の状況,日常生活レベル,利用している社会資源サービス,入院歴,既往疾患,入所前にいた場所,退所理由,退所先,看護展開の内容(看護診断,看護目標,看護過程,看護評価,バイタルサイン測定) 結果:女性229名(70.7%),男性95名(29.3%),平均年齢94.5歳,退所先病院146名(45.1%),福祉施設57名(17.8%),他の老人保健施設55名(17.0%),家庭63名(19.4%),不詳3名(0.9%) 分析は,データ入力が完了後,詳細に行う予定だが,今回の調査においても老人保健施設からの退所先は,病院である割合が高いことが明らかになった。今後は,退所理由と看護内容の分析も加え,検討していきたい。
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