2015 Fiscal Year Annual Research Report
他人と情動を共有する際の脳活動とオキシトシン受容体遺伝子多型との関係に関する研究
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15F15013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
綿貫 茂喜 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (00158677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHOI DAMEE 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-04-24 – 2017-03-31
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Keywords | オキシトシン / 遺伝子多型 / 脳波 / 共感 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] オキシトシンはヒトの社会的行動(母性、愛着、共感など)に影響を及ぼすホルモンである。近年、オキシトシン受容体遺伝子多型がヒトの社会的行動の個人差と関連していることが報告されてきた。そこで本研究では、オキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型による脳活動及び性格特性の違いを調べることを目的とした。
[一年目の結果] 日本人男性100名の唾液からDNAを抽出し、オキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型を解析した。また、被験者の性格特性及び情動誘発時の脳波反応を測定した。その結果、オキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型のGG/GA型とAA型の間に脳波反応の違いが見られ、GG/GA型はAA型に比べ強い情動反応を見せることが示唆された。更に、オキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型と性格特性の関係を調べた結果、オキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型のGG/GA型はAA型に比べ高い共感特性、低い心理的Well-beingを示した。
[実績] これらの結果に基づいて、4回の国際学会発表(このうち2回は招待講演)、1回の国内学会発表を行った。論文は現在準備中であり、Journal of Physiological Anthropologyに投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データの収集・解析が順調に進んでいる。また、国際及び国内学会で成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
一年目で見られたオキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型と心理的Well-beingの関係は、欧米の先行研究と逆の結果であるため、更に検討する必要があると考えられる。先行研究によると、心理的Well-beingはネガティブな情動の調節能力と関連している。従って、二年目には、ネガティブな情動を調節する際の脳波反応がオキシトシン受容体遺伝子(rs53576)多型により異なるかを調べることを目的としている。
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Research Products
(5 results)