2015 Fiscal Year Annual Research Report
刺激応答性発光ナノファイバーのデザインとバイオ領域への応用
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15F15031
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢貝 史樹 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80344969)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ADHIKARI BIMALENDU 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-07-29 – 2017-03-31
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Keywords | 超分子ポリマー / ナノファイバー / 光異性化 / 水素結合 / 会合体 / アゾベンゼン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、ロッド構造を形成する水素結合性ナフタレン環状6量体にアゾベンゼンを導入し、光によって長さの制御が可能な発光性ナノファイバーの構築に取り組んだ。新規に合成したナフタレン-アゾベンゼン複合分子は、低極性溶媒中(メチルシクロヘキサン)で水素結合性環状6量体を介して超分子ポリマー化し、重合度(長さ)が多分散のシリンダー状ナノ構造を与えることが、原子間力顕微鏡測定及び動的光散乱測定により明らかになった。しかし、超分子ポリマー化の駆動力としてナフタレンのH会合が起こってしまい、これによって著しい発光のクエンチが確認された。一方、これらのシリンダー状ナノ構造に紫外光を照射したが、アゾベンゼン部の光異性化が会合によって著しく抑制され、シリンダー状ナノ構造の長さに変化は現れなかった。そこで、あらかじめモノマー状態にあるクロロホルム溶液に紫外光を照射し、十分にシス体に光異性化させた複合分子をメチルシクロヘキサンに注入すると、アモルファスな集合体が形成されることが、原子間力顕微鏡測定及び動的光散乱測定により明らかになった。このアモルファス集合体に可視光を照射することで、比較的長さの揃った短いシリンダー状ナノ構造が得られた。このような構造体は、さらに伸長した構造体の「種」として利用することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではファイバー構造の形成とキャラクタリゼーションまでが目標であったが、光を用いた集合経路の利用により、比較的長さの揃った超分子ポリマーの調製に成功したため、研究は順調に進んでいるものと判断できる。一方で、発光能に対しては大幅な改善が必要であり、今後ナフタレン部位の会合状態を微調整するために置換基の改変などを行う。
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Strategy for Future Research Activity |
発光強度の改善が取り組むべき一つの重要な課題であり、そのためにはナフタレンとアゾベンゼン部位の連結構造を改変するなどして、ナフタレンのH会合を抑制する必要がある。また、光を経由した集合経路によりシリンダー状ナノ構造「種」ができたため、光による超分子ポリマーの連鎖重合に取り組む。同時に、シリンダー状ナノ構造の内部における分子の充填構造を、小角X線散乱、動的光散乱、広角X線回折などを用いて精査する。
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Research Products
(1 results)