2015 Fiscal Year Annual Research Report
カスタマイズ可能なポリオキソバナデートをもちいた拡張骨格構造の構築
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15F15034
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大塩 寛紀 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60176865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAMERON JAMIE 筑波大学, 数理物質系, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | ポリ酸 / 多核錯体 / ハイブリッドPOM / 光触媒 / 磁性 / 電気化学的性質 / POM-MOF / ポリオキソバナデート |
Outline of Annual Research Achievements |
水中で高原子価のモリブデン(VI)やタングステン(VI)イオンはオキソ酸になり,これが集積しポリオキソ酸(POM = Polyoxometalate)になる.POMは構造の多様性や触媒の観点から精力的に研究されてきたが,近年,ヘテロ金属イオンの導入やPOMの集積法が開発されることにより,分子磁性材料や新触媒機能材料として注目を集めている.申請者は、{Se2W12}が高度に制御された反応条件下で{Mn4Se4W24},{Se6W39},{Se8W48},{Pd10Se10W52}が生成することを見出した(Chem. Comm. 2014).これは,POMへのヘテロ金属イオンの導入とPOMの集積化を同時になし得た独創的な研究である.異種金属イオンからなるPOMを合成することができれば,触媒能だけでなく分子磁性の観点からも大変興味深い.我々のグループでは多段階酸化還元能をもつPOMに着目し,POMと金属錯体を融合したハイブリッドPOM(Hybrid-POM: [Ru(L)-W17O63])の合成に成功し,プロトンの光還元,二酸化炭素の電解還元へと研究を展開している.このHybrid-POMは,光増感金属錯体部位([Ru(terpy)])とPOMの酸化還元電位を精密に制御することで長寿命光電荷分離状態を生成することが可能であり,小分子を活性化する光触媒・電解触媒として期待している物質群である.そこで,本研究では,新規光触媒の開発を目指し,酸化還元活性オキソバナデートやヘテロ金属POMをもちい,金属錯体と融合させたハイブリッドPOMを構築し,触媒機能を制御可能な化合物群を開拓する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出発原料として有用な欠損型POMをもちい、架橋能をもつ有機部位や遷移金属錯体部位をもつハイブリッドPOM合成の手法を参考に、マンガンイオンとの反応によって数種のヘテロ金属多核クラスターの構築に成功している。これらの結果から欠損POMを配位子としてもちいた多核錯体の分子設計は有効であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
得られている新規多核クラスターの物性を調べるとともに、光触媒・電解触媒としての性質を調べ、高機能な小分子変換触媒の開発を進める。
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