2015 Fiscal Year Annual Research Report
ラメラ層を有するゲルを用いた、異方的イオン伝導体および光バイオ電池の設計と創成
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15F15043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
グン 剣萍 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (20250417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAQUE MD 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-11-09 – 2018-03-31
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Keywords | ゲル / 合成二分子膜 / ラメラ構造 / イオン伝導 / 異方性 / チャネル / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、柔軟で溶媒を含むポリアクリルアミド(PAAm)ゲルにポリドデシルグリセリルイタコネート(PDGI)の一軸配向ラメラ層を導入したPDGI/PAAmゲルについて、そのラメラ構造を活かした機能性材料の創製を目的とする。平成27年度は、以下の研究を行った。 1. イオン液体との複合による低次元イオン伝導体の検討 PDGI/PAAmゲルとイオン液体との複合化を行った。イオン液体としては安価な塩化コリンと尿素の共晶を使用し、試行錯誤の結果、イオン液体と水の混合溶液にゲルを浸漬させた後、水を除去するという方法によって実現した。ゲル中のシート状PDGIラメラ層は物質不透性を有しているため、本物質は2次元イオン伝導体となることが期待される。 2. 膜タンパクとの複合による人工チャネルの構築 バクテリオロドプシンなどの膜タンパク分子をゲル内のラメラ層と複合化させ、人工チャネルの構築を目指す。このような大型分子をラメラ層に導入するためには、ゲル重合前にDGI-膜タンパク複合ラメラ構造を形成させることが望ましい。しかし、重合前のDGI集合体は極めて不安定であり、ごく微量のイオン性添加物が存在するだけでもラメラ構造が崩れてしまうため、このような複合ラメラ構造の構築には困難が予想される。ここで、DGIの疎水部は1本のアルキル鎖からなる一方、生体に存在するリン脂質の疎水部は2本のアルキル鎖からなることに着目した。この疎水部の本数差がラメラ構造の安定性に影響している可能性が高いと考え、H27年度は疎水部が2本のアルキル鎖からなるDGI類縁体のオクチルドデシルグリセリルイタコネート(ODGI)を合成・使用し、ゲル前駆体溶液内のラメラ層安定化を目指している。現在ODGI合成を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である低次元イオン伝導体、および人工チャネルの実現に向けて着実な1歩を踏み出している。低次元イオン伝導体については、媒体となるイオン液体との複合化を実現した。また人工チャネルについては、膜タンパクとの複合の前段階としてラメラ層構成脂質の改良を行った。今後の研究により、当初目的の実現が十分期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、まず2本の疎水鎖を有する脂質ODGIの合成を完了させ、PODGIの一軸配向ラメラ構造を有するPODGI/PAAmゲルを作製する。美しいラメラ構造が形成されない場合は、脂質としてDGIとODGIの混合物を用いることを検討する。 続いて、PDGI/PAAmゲル、またはPODGI/PAAmの溶媒をイオン液体に置換し、イオン伝導度の異方性を測定する。伝導パスの低次元化により伝導が効率化され、通常のイオン液体中よりも優れたイオン伝導性が期待出来る。 また、人工チャネル材料として光応答プロトン輸送能を有するバクテリオロドプシンをPODGI/PAAmゲルに導入し、実際に光照射によってゲル内部の膜を介したプロトン移動を実現する。
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Research Products
(5 results)