2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15F15048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 宏知 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (90361518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAUNITZ LISANDRO 東京大学, 先端科学技術研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 聴覚 / 新皮質 / 視床 / 意識 / 微小電極アレイ / 神経活動 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,視床と聴覚野の相互作用が,どのように意識的な聴知覚を生成するかを明らかにすることである.そのために,本年度は,(ⅰ)実験系を構築したうえで,(ⅱ)視床・聴覚野の活動を同時計測する実験,(ⅲ)聴覚野を電気刺激し聴知覚を生成する実験を実施し,有望な結果を得た.実験系の構築では,覚醒下で神経活動を計測・刺激できる装置を試作した.本実験系では,ラット頭部に埋植した固定具で動物を拘束し,拘束中はレバー操作により水を与える.装置の基本部分の試作は外注したうえで,固定具は3Dプリンタで設計し,実験用のプログラムは自作した.計測実験では,視床と聴覚野に微小電極アレイを刺入し,同時計測を実現した.微小電極アレイは,3柄からなり,各柄は聴覚野用に17点,視床用に15点の計測電極を有する.これまでの実験では,麻酔下において安定した計測を実現したが,覚醒下での計測では,動物を固定後,計測するまでの準備で解決すべき課題が明らかになった.また,同時計測した実験データから,transfer entropyを計算し,視床と聴覚野間の情報流を定量化する手法を試みた.現在のところ,従来の解剖学的知見と矛盾しない結果を得ており,手法の妥当性を引き続き評価していく.聴覚野を電気刺激する実験では,上記で開発した実験系にラットを固定し,音刺激,光刺激,聴覚野の電気刺激を知覚したらレバーを引くように訓練した.その結果,電気刺激に対しても,音・光刺激と同様に,ラットはレバーを引いたことから,電気刺激で意識的な聴知覚を生成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は実験系の構築を目指したが,おおむね,当初の想定した実験系を組めた.ただし,覚醒下の条件では,ラットを固定し,電極を刺入するときに手間取ることが多く,次年度に改善策を考え,適宜,講じる必要がある.解析方法では,予備的な結果を得ており,今後を期待できる.また,電気刺激の実験では,動物に人工的な聴知覚を生成し,さらにそれを報告させることができたことは,大きな一歩である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初通り,聴覚野と視床の相互作用から意識的な聴知覚の生成メカニズムを明らかにすることを目的として,実験手法と解析方法をさらに洗練させ,生理実験とデータ解析をバランスよく遂行していく.
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] The speed of Metacognition2016
Author(s)
Kaunitz L, Cohen D, Koenig R, Tsuchiya N
Organizer
Association for the scientific studies on consciousness
Place of Presentation
Buenos Aires, アルゼンチン
Year and Date
2016-06-15 – 2016-06-15
Int'l Joint Research
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