2016 Fiscal Year Annual Research Report
電子線トモグラフ法による複合ナノ触媒の3次元ナノ解析
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15F15056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 賢治 九州大学, 工学研究院, 教授 (30336002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ROY AHIN 九州大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2015-10-09 – 2018-03-31
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Keywords | 金ナノワイヤー / テルルナノワイヤー / 酸化タングステン / 電気的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は大きく分けて三つのテーマを遂行した。材料として、金(Au)ナノワイヤー、テルル(Te)ナノワイヤーとWO3を扱った。 予めオレイルアミンでキャップをしたAuナノ粒子を合成し、オレイルアミンを選択的に除去する二段階プロセスでAu ナノワイヤを合成できる。高分解能TEM 観察から、Auナノワイヤは[111]方向に成長しており多数の双晶を有していることが明らかとなった。このように作製したAuナノワイヤーの電気的特性はバルク体の金とは異なり、半導体特性を有する事を実験的に証明し、その結合エネルギーや電子状態密度を理論的に計算することにより、量子閉じ込め効果の結果、半導体特性が発現することを見いだしている(Applied Physics Letters, 109, 253108 (2016))。 金属TeナノワイヤはNa2TeO3 を水熱合成により還元することで得られる。高分解能TEM 観察の結果、[0001]方向へ優先成長していることが明らかになったが、これはTe が三方晶の結晶構造を有していることに依ると考えられる。また、その結合エネルギーや電子状態密度を理論的に計算することにより、二酸化窒素を表面に吸着させ半導体ー金属遷移が発生することを解明した(Materia Japan, 55 (No. 12), 603 (2016))。 合成時にシュウ酸を添加することにより、構造の異なる二種類の酸化タングステン(WO3)(六方晶と斜方晶)が成長させることを明らかにしている。特にエレクトロクロミック特性を計測することにより、六方晶のWO3が斜方晶のWO3に比べ、早く色変化応答が早いことを見いだしている(ACS Applied Materials & Interfaces, Article ASAP (2017))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要でも述べたとおり、2016年度は主に複合ナノ触媒の電気的特性や酸化タングステンナノ粒子の作製を行い、それぞれの結果の論文化に成功している。しかい、本来の主題である複合ナノ触媒の立体的な可視化には至っていない。これまでに透過型電子顕微鏡を用いて、酸化セリウムから連続傾斜像(ー50°~50°)を取得することに成功しているが、連続傾斜像取得条件の最適化には至っておらず、回折コントラストの存在等が理由でコンピューターを用いた再構築が困難であり、立体的な可視化が不可能なためである。 水熱合成法(ソルボサーマル合成法の一つ)を行うための装置を作成し、プラチナナノワイヤーの作製に成功している。こちらについては酸化セリウムと同様に連続傾斜像を取得することにより、立体的な可視化を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、連続傾斜像取得条件の最適化を図り、電子線トモグラフ法のプラチナナノワイヤーやナノ粒子への展開を図る。特にプラチナナノワイヤーはその作製時にナノ立方体とナノワイヤーが共存してしまうことが知られている。このため、作製温度と作製時間を変化させル等により実験条件の最適化を行い、ナノ立方体のみの作製条件やナノワイヤーのみの作製条件を設定する。 また、他の透過型電子顕微鏡手法を適用することにより、その微構造解析と歪み分布解析を行うなどにより、どのように温度や時間がナノワイヤからナノ立方体への形態変化を招くかについて解明する。
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Research Products
(9 results)